2016年5月8日日曜日

カギガタカンアオイ

日本平有度山系に行ってきた。
現在農地の区画整理中でただでさえ少ない自生の植生域が次々と消失している。残念ながら近い将来なんにも残らなくなるのだろう。数十年前の静岡県の自然誌や植生についての書籍を何冊か入手しているのだがその最後の方の記録になりそうである・・・

農地開拓される以前は無数の沢があったそうで未だに久能山側の渓谷地帯は立ち入り禁止になっているくらい切り立った崖が出来るような地形なのでかつて経験のないほどの原生林。ただしすぐ傍に様々な遊戯施設があったり道路が通っているせいで車や人の気配も濃厚にする。

ただ今回観察できた場所は人が踏み入れた形跡があまりないものだから、あまり見かけないようなカンアオイの大株がけっこうあった。スズカの葉模様をしたランヨウアオイみたいな感じの草である。ちょうど開花期だったらしく一目で確認できたがおそらくカギガタ。ようやくこの目で確認できた自生の本物である。葉は照り葉でツヤありやや大型(成長が良い株だけかも)葉質は薄めでつるりとしている。花は中型くらいで草姿は全体的にランヨウに似ている。ひょっとするとカギガタ以外も混じっているかも知れないが皆よく似ていた。

ちなみに斑入りとかはまったくないし(あったとしても斑入りランヨウの不人気ぶりを見るにたかが知れている。くどいようだが基本的に斑入りのカンアオイはヨコシマだと思っている。種親としては所持しているものもある)、地味なアラレ模様のものだけ。とは言えワサワサと葉を茂らせたカンアオイを無数に見ることができたのは貴重な体験であった。

問題はもんのすごくヤブ蚊が多いこと。沢が多いというのはこういうことかと。数か所回ったが山歩き中どこへ行ってもずっと蚊に付きまとわれ耳元でぶ~んと鳴りっぱなし。日焼けしたみたいに真っ赤な顔になってしまった・・・またイノシシの沼田場がいたるところにあって獣臭いし殺人ダニなんかがいるとやばいし大丈夫だろうかオレ。

「カギガタカンアオイ」
「カギガタカンアオイ」
「カギガタカンアオイ」
大きな丸い石が多いのでかつては海岸だったのかも知れない。

「カギガタカンアオイ」
「カギガタカンアオイ」
「カギガタカンアオイ」
「ヒロハテイショウソウ?」
テイショウソウまで発見。しかも見かけたものは全部同じ丸っこい葉タイプ。キッコウハグマはあったが、長細い葉で濃い模様のある「普通のテイショウソウ」は発見できず。てなるとヒロハテイショウソウは交雑種じゃなくてやっぱり地域変種(海浜型?)とする方が妥当だ(交雑自体は起きるとしても)。やはりちゃんと自分の目と足で確認しないとダメだなぁ。全国の自生地を渡り歩く草数寄者たちをほんと尊敬するよ。

「ヒロハテイショウソウ?」
植物標本(参照:徳島県立博物館)を見るにヒロハで間違いないようである。

「ヒロハテイショウソウ?」
「ヒロハテイショウソウ?」
一番幅狭で色が乗っていそうに見えたこの個体ですらこの地味柄。

「ヒロハテイショウソウ?」
どう見ても全体的に丸葉傾向があるようだ。葉の切れ込みが深めなのでモミジバハグマも参照してみたがあっちはむしろモミジガサに似ていて違うっぽい。種の季節に再訪せねば。


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