2015年4月11日土曜日

アマギカンアオイの逆襲

先日は完全なる徒労に終わった「アマギ」探索であったが、こんどは大漁であった。
いやホントにウソみたいに大量にあってですね。「スズカ」や「ランヨウ」の場所と同じくらいにけっこうある。しかもアマギばかり。

やはり、基本的にはカンアオイは混生しない。と言うのが自分の見た範囲での現実である。
・・・・・・と終わらせるつもりだったのだが、静岡県は有数のカンアオイの産地であったのである。

生涯初めてみた生のアマギ。
一株見つけられればあとは周囲を念入りに探すだけ。
杉林脇の倒木と茂みの斜面であったが、興奮して小躍りしたね。
青軸を確認。
すでに一目瞭然であったが、問答無用でアマギである。
こんな感じの山採り増殖株を購入したことがあるが・・・
この分厚い光沢のある葉!
葉質ならカンアオイ界最強だよね。
実生小苗をよく見た。
順調に繁殖中。
アマギの花。
青軸なのだが、花は素心ではないのだね。
万両?
山によっても植生がいろいろで、ここでは万両を良く見たが、ウバユリとかはまったく見ない。
葉模様がスズカそっくりな地味なものばかり。
アマギはスズカの海浜型カンアオイなのではないかと言う感じがした。無論花は違うが。
そう言えばフジノもかなりツヤツヤした葉で、海浜植物のせいなの?とか思った。
アマギに夢中になっていたら、突然別の派手な葉模様のカンアオイ発見!
「カントウ」か「ヒメカンアオイ」だとピン!と来た。
→ おそらく「オトメ」(参照:日本新薬)である。

なんか「ヒナカンアオイ」っぽい葉質だなぁとずーっと思ってたらこんな記述(参照:Hagoymi さん
)も。
となると、「タニムラアオイ」や「ミヤビアオイ」あたり、果ては「ツヤ無しフジノ」とかのこのツヤ無し薄葉タイプは同じ系統?
→と思ったが、よく考えると「ヒカンアオイ」とした方が妥当かな。しかし「ヒメ」の方はここまでマット地な葉質ではないけど。
こんな感じの下り藤が多し。
なぜかここだけウジャウジャと固まって生えている。
まるで誰かが「細辛」を植えていったんじゃないかって感じの生息具合。
いつも思うのだが、カンアオイはまず周囲に子孫をばら撒いて、その後じわじわ拡大していく感じ。あるいは撹乱された人工林脇の空白地帯へ侵攻を開始した直後の場面に遭遇しているせいかも知れん。

なおアマギとはニアミスの距離だが、微妙に混在はしていない。
交雑するかも知れないが、ギリギリしないと言われても分からないでもないくらい。10メートル内外と言ったところか。
亀甲柄も確認。
細辛の「雪月花」そっくり(→帰宅後確認したら「雪月花」の方がはるかに綺麗であった。流石銘品。安価な普及品でも格が違う)な柄のものもあり、カントウカンアオイの青軸とか言われている雪月花の実生品だかなんだかが、青軸の山採り起源と言われても納得。ようするに普通の柄かも・・
鹿の足跡?
やつらはカンアオイを食うのだろうか。
だとするとフンで播種されたりするのか?

解体してみないことには外観だけでは良く分からん。

「ベニシュスラン」のようである。
こちらも初の生ベニシュスラン亀甲柄である。

なにかに似ていると思ったら、このつや消しな葉質の感じが「オトメ」なのだ。



ついでに、写真は撮ってないが初「春蘭」でもあった。春蘭はまったく調査しようと思って見てないのでジャノヒゲとかとの区別がはっきりしないのだが、根を見てそれっぽいと判断した。

ヤブレガサ
べつにこっちは初じゃないが。
破れ傘だねぇ。
トウゲシバ
べつにこれもわりとどこでも見かける。

2015年4月5日日曜日

スルガテンナンショウ 他

「キシダマムシグサ」
色々な葉模様のものを集めていたのだが、砂子模様のものばかり生き残った・・・

付属体はこんな感じ。

個体によって多少形状や色が異なる。

「スルガテンナンショウ」
興津川流域産。
付属体がミニユキモチソウ状。
なんか花が育つにつれて大きくなってきたような・・・
日本平産のものはここまで大きくないのが不思議。

豆でも乗っけてるよう。

モヤシだ・・・

「ユキモチソウ」
四国産。
静岡にも産するらしいのだが、本当なんでしょうかね。
蒸れに弱くてよく腐らせてしまう。実生苗は直射日光下で育成していたがへっちゃらであったので、環境適応出来てないだけと思われるが・・・

天城越え

「アマギカンアオイ」の自生地を見たくて天城まで行って来たのだが・・・・・
アマギが行方不明。
4時間近く山中を彷徨っていたが、見かけたのは「ランヨウアオイ」(参照:四季の山野草さん)ばかり。
ただ、シュスランの自生を初めて見て感動した。杉の落葉がふかふかの腐葉土となったやや明るい道路脇に結構居た。ベニシュスランかどうかは分からないが、カゴメ模様は一株もなし。
あたり一面どこもかしこも「ミヤマカタバミばかり。斑入りでもあるかと思ったが、模様葉が多少あるのみ。あまりにも多いのでうんざりしてしまった。
「ミヤマカタバミ」と「不明シュスラン」
おそらく「ランヨウカンアオイ」(スントウかも?)
親苗は見かけず、このサイズのものばかり。
葉模様もなく地味なこと。誰かが抜いていったようでもなく、冬季落葉しているのかも知れんと思った。
アケボノシュスラン」あたりかな。
「アマギテンナンショウ」→「ナガバマムシグサ」(参照:コレー園芸さん)らしい。葉長がアマギでなさそう。
と思われる。銀ノリ中斑の葉模様もあり、花も透き通るように清涼感がありキレイであった。
おそらくここの普通種なのだろうが、今回唯一の収穫・・・(採ってませんヨ)
付属体の形状が「スルガテンナンショウ」とは異なる。開花直後はやや棒状だったスルガだが、だんだん丸く膨らんできた。
これは先がほんのりふくらみ気味で、蒲の穂状の「キシダマムシグサ」(栽培中)ともちょっと違う気がする。
仏炎苞はこの色が基本色なのか分からぬが、濁りのない飴色の付属体を見るに準素心とかウルミとか言う色素の薄い個体なのだと思う。山中でもほとんど見かけず。見かけたのは中斑紋がないもので「ホソバテンナンショウ」に似ていた。「ホソバマムシグサ」の色彩変異か基本種かと思っていたが、別種なのかね。まだ勉強が足らん。
道路脇に生えていた。
これに限らずテンナンショウ類は道路の側が大好きなようである。
あるいは、鳥が道路脇でトイレをするのが好きと言った方が良いのか?
これ、なんかのトリビアにならないかね?
デカかったので撮った。それだけ。調べる気にもならず。
シシガシラと思われる小苗もたくさんあったが、特筆すべき変異体はなさそうであった。
あったとしても、山採り変わり物は継続しなかったりするので特に見なかった。
これと同じようなヤブツバキがたくさんあった。
実生苗はまったく見かけなかった。当然変わりものなどもナシ。
「ウバユリ」
だと思うが、ほとんど何処でも見かけた。
これはちょっとエイリアン的な色合い。大半はただの緑。
「地衣類」(ハイイロキゴケ?)
風の通り道でかつ湿度の多いような場所に多く見られた。
おそらく、それほど気温が上がらない場所が好みなのであろう。
*地衣類は0℃以下~70℃まで適応出来る種もあるらしい。また日光も好むとか。
「地衣類2」
こんな群生は富士山以外で初めてみた。
青カビの親分みたいで思わず呼吸を止めてしまった。
「シハイスミレ?」
タチツボと思われるものがほとんど、これがわずかに。
宮﨑アニメで出てきそうな。
「ハイゴケ」
が繁茂しており。
ハイゴケは湿度が多い場所では小型のシダのような姿になりキレイなのだが、いざ栽培しようとすると思うようにゆかぬ。
乾燥にもそれなりに強い筈だが、テラリウムとかで半分水没させてしまうくらいが良いかも。
直射日光の当たる川のすぐ脇の法面などにも生えている。こんな感じで岩に着生させたら素敵だと思う。
「ヤブツバキ」
気持ちユリ咲きっぽい個体もあったが、ともかく薄暗い山中ではやはり花がある。
別の山でも見かけたが何の花か分からなかったがふと閃いた。
ミツマタ」である。
群生しているので、紙の原料としていた時期があったのかも。
本当に自然林なんてないね。何処へ行っても杉ばかりだし。よくまあこんな急斜面のほぼ全面を植林したものだと感心。
園芸品種に毒されていなければ素直に感動したのだろうが・・。
多少個体変異もあるようだが、ほぼ同じ。
ようやくアマギかと思ったら、泥軸。
葉も薄いし、ランヨウかスントウだろう。
隣の「カラス葉」に一瞬!となったが、これカンアオイじゃなくてウバユリです・・・・。
一気に力が抜けてしまった。
「ウバユリ?」
こんな大きな葉でもこのチョコレート色。
アントシアニン量が多いのなら、赤花だったりして?
わりと同じ柄のものが密集していた。


そう言えば、シカだろうか。フンが結構落ちていた。
ウバユリは鱗茎を食べられるらしいが、葉っぱもイケるのかな。
雑誌とかで使えそうな感じに可愛らしく撮ってみました。自然写真としてなら売れるかな。登録してみるか。
「ノキシノブ」
ニョロニョロみたい・・・
これは着生してますが、地表に生えてるのもいて軽く驚いた。
落ちて居着いてしまっただけかも知れんが。
こんな感じの写真ばかり山のように撮影してきた。
いずれ庭園をつくる時に参考になるといいかな。
山に入ると、山野草の植生状態がよく分かっていい。
それが直接栽培に関係することもなかったりするが、ひとつ言えるのはあんまり蒸れるような状態はなさそうだと言うことだ。直接雨に濡れたり、直接に太陽や風に曝されたりすることがない感じ。しかも湿度と通風は充分で涼しい。
これはなかなか真似できないと思う。
マメザクラですかね。
花びらと枝と実生苗は見かけたが、本体は不明。
最後のカンアオイ。
大体、カンアオイの好みそうな場所が分かるようになってきて、これも当たりだったのだが、つまりランヨウかスントウしかいないことが分かった。
カンアオイは数種類が混在するが交雑は稀としている記述を数回見かけたが、今までスズカ、ランヨウ、ココの三箇所を見た限りでは、混在している様子はない。

これで、アマギは諦めた。

ムリ。本日は終了。
この木の名前が分かりません。
ご存知の方がいらっしゃいましたらご教示くださいませんか。
常緑なのだが・・・アラカシシリブカガシ

→「イズセンリョウ」のようである。が自分で同定できそうな適当な画像がないのである。ネットの落とし穴であると言うかニッチな需要を満たすのがネットの利点であるのだからして、今後も出来るだけ多方面から役立つかも知れない写真などを載せるつもり。・・・だいたい実以外はセンリョウとは似ても似つかぬ木である。
「これも不明?」
なんだか分からないが、地味な緑の花が咲いていた。
→「ナツボウズ」のようだ。