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2014年11月1日土曜日

「西日本のフナ属魚類 オオキンブナをめぐって」谷口順彦氏

昨年から今年にかけて、ヒブナや鉄魚を全て落としてしまったショックで、ほかのフナ類も譲ってしまってフナの飼育は封印することとした。

いくつか分かった事は、北海道産のフナでも真夏の40℃近い高温にも耐えること、逆に低温に慣れているかと思うとそうでもないこと。

全然性成熟しないこと。つまり、♂なのか♀なのか分からん。
そもそも「関東産のキンブナ」すらブリード出来なかった。ただし、追い星は確認した。♀が充分に育たなかったらしい。

環境も良くないのだろうが、自家産金魚はそれでも累代できているので、ようは慣れの問題だとも思う。

さて、当面は飼育スペースを縮小したため金魚交配に専念するつもりだが、国産とは言えやはりメダカはどうしても好きになりきれない(人工受精出来ないのが痛い)し、所詮金魚は長江起源の外来種フナであると言うのは常に頭の隅から抜けない。

であるので、フナ飼育も再開したい。ただ、外来のフナとの雑種やら、3倍体のフナはもういい。
「キンブナ」か「オオキンブナ」、金魚との雑種起源でない「本物のテツギョ」(おそらく「ヒブナ」も同様に「オオキンブナ」の変種)をなんとか手に入れたいと思う。

どなたか心当たりのある方はおらんのだろうか・・・・それともやっぱり純系のフナ由来のヒブナやテツギョなんて存在しないのだろうか。


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財団法人 淡水魚保護協会機関紙 「淡水魚8号」
「西日本のフナ属魚類 オオキンブナをめぐって」谷口順彦氏   より、大雑把に抜粋。

冒頭、筋漿蛋白電気泳動像での遺伝子型識別についての妥当性等について書かれている。
その結果が以下。

[Ⅰ型]
:オオキンブナ(Carassius buergeri buergeri 西日本~北海道?
:キンブナ(Carassius buergeri subsp-A 本州関東以北
:ナガブナ(Carassius buergeri subsp-B 諏訪湖
:ニゴロブナ(Carassius buergeri subsp-C 琵琶湖

[Ⅱ型]
:ギンブナ(Carassius langsdorfii) 日本全国

[Ⅲ型]
:ゲンゴロウブナ(Carassius cuvieri) 全国(琵琶湖由来)

[Ⅳ型]
:ヨーロッパブナ(Carassius carassius)



「Ⅰ型」はキンブナとオオキンブナが含まれ、第一バンドの濃度が高く、第五、第六バンドの濃度が低い。ナガブナ及び、ニゴロブナは第五バンドの濃度が相対的に高めだが、Ⅰ型に含まれる。

「Ⅱ型」は「東日本のギンブナ」Ⅱ-1や「西日本のギンブナ」Ⅱ-2が含まれ、第五バンドの濃度が著しく高い。Ⅱ-3型は、第三バンドが第四バンドのほぼ半分の濃度。Ⅱ-4型は、第四バンドが第三バンドのほぼ半分の濃度で、霞ヶ浦の「キンブナとギンブナの中間型」に現れる。

「Ⅲ型」は「ゲンゴロウブナ」及び養殖用品種の「カワチブナ」琵琶湖以外で採取されたゲンゴロウブナを含む。第五バンドの濃度が高く、第一~第三バンドを欠く。

「Ⅳ型」はヨーロッパブナに特有。第一バンドが高く、第五バンドが低い点でキンブナに、第二バンドを保有する点で西日本系のギンブナに似る。また、全体的に鯉の泳動像により良く似ている。




以下、ざっくりと要約すると、

・「オオキンブナ」は2倍体。
・東日本及び西日本の「ギンブナ」は雌性発生の3倍体。
・従来「ギンブナ」の性比が場所によって異なっていた(少数の♂がいるとされていた)のは、「オオキンブナ」の存在が正しく認識されていなかった事がうかがわれる。


・霞ヶ浦の「キンブナ」を形態的に同定したものは、すべてⅠ-B型であり、逆にⅠ-B型と判定されたものも、すべて「キンブナ」の特徴的な形態を示した。体型や体色に見られる差が遺伝的であることを示唆している。
・西日本のフナにおいて、外形や体色によって常に「オオキンブナ」と同定されたものは、Ⅰ型で、「ギンブナ」と同定されたものはⅡ-2型だった。
・西日本のギンブナはほとんどⅡ-2型だったが、「児島湖」だけはⅡ-1、Ⅱ-3、Ⅱ-4などが認められた。


・「オオキンブナ」は「ギンブナ」と比べ、背鰭条数・鰓耙数が少なく、背鰭基底長が短い。「キンブナ」「ギンブナ」の種間差傾向が保持されている。
・筆者(谷口順彦氏)は「オオキンブナ」を西日本系のキンブナと称してきて、「ナガブナ」にあたるのではないかと考えた事もあったが、諏訪湖で採取してきた「ナガブナ」の鰓耙は著しく多い。「ナガブナ」はむしろ「ニゴロブナ」に似ていると言うのが筆者の印象である。
・「オオキンブナ」は、東日本のキンブナに種々の形質がよく似ているが、測定値に差が認められた。最も大きく異なるところは著しく大きくなるところなので、オオキンブナ(落合他、1979)と称することにした。

・オオキンブナとギンブナの差は相対的なものであって、採取地によって体型や体色がかなり変化する。同一採取地、同一サイズであれば比較的容易に同定できた。また、大型個体程両種の差は顕著となる。

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と言うわけで、外見からほぼ同定が可能であるようであるのはうれしい。

なお、オオキンブナとキンブナの比較写真が何点か載っているが、白黒写真ではほとんど区別できない。背鰭基底長に明白な違いが見えるものもあるが、むしろ採取地ごとの差異の方が目立つ。

例えば諏訪湖のナガブナとギンブナでは、両者とも顎がシャクレ気味になっている(当ブログで北方系のキンブナ・ナガブナ系とか称しているタイプに似ている)。若干、背(肩)が低めであるような気はするのだが、違う採取地のものではまた違う。全体的に見て、顔(頭)が胴体にくらべてやや大きめな雰囲気はある。・・・かも知れない。

岡山産のギンブナについては、別の文献でも見たような気がするのだが、児島湖は人造湖なようなので、人為的な撹乱(移入種)があって谷口氏の試験結果がもたらされているのかなぁと思ったりもした。

より新しいフナ類の研究文献には3倍体は、2倍体群から常に発生しているような意味の事が書かれていた気がするので、閉塞環境に置かれたオオキンブナとギンブナ。あるいはオオキンブナから発生してきた新たな3倍体クローン群とかなんとか。

なんであれ育種家としては、純系の2倍体であって改良・改変の余地があればそれでいいのだ。(パールスケールの起源が南方であると言うのを、ネットのどこかで見た気がするのだが、金魚はひょっとすると雑種ではないかと思ったりもする)

2013年12月8日日曜日

「ヒブナとテツギョ、金魚との関係」 (松井佳一氏 遺稿)

「淡水魚 第二号」 財団法人淡水魚保護協会機関紙 より後半部を抜粋。

:大正11年(1918年)東京市上野公園で開催せられた平和祈念東京博覧会で山形県北村山郡玉野村大字母袋の清藤芳松がテツギョを出品。体型は金魚に似てフナ尾で長く体色が黒く鉄色を帯びている。同村母袋若畑沼の特産で、明治初年同沼付近は森林繁茂し人跡稀であったが、明治20年頃森林伐採と共に沼中に異様の魚族を発見し、はじめ黒鉄色の尾ならびに鰭長大しものを漁獲した。色は、黒、赤、白、黄の斑等種々ありとあったので、金魚の原種ではないかとの報道もあって大いに評判となった。

:昭和2年頃宮城県加美郡宮崎村田代岳の山中魚取沼にテツギョがいるとのことで、当時東北大学朴沢三二教授がこれにつき調査して、昭和6年6月宮城教育でその結果を発表せられた。


:昭和2年(1927年)早春、若畑沼の実地を視察調査したが、ここは部落有で、金魚、鮒などを飼育していて、珍しい魚が見つかると山中のこの沼へ放つ風習があるとの伝承があった。


:宮城県のテツギョは天然記念物に指定されて有名となったので、大正14年10月当時摂政宮殿下の生物学御研究所に魚取沼産鉄魚28尾が献上せられ、また昭和3年に御即位の後御研究所が宮城内に遷御になって、昭和3年10月に13尾が献上せられたものについて御飼育になったものから、昭和4年6月多数の幼魚を得られたが、混養で親魚は不明であったが、仔魚314尾のうち140尾は長尾、173尾は短尾であったが、このうち1尾は開き尾であったこと、その他長尾短尾の出現率などにつき、御用係服部廣太郎博士が「採集と飼育第9巻第10号・昭和22年1月」に御発表になっている。

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この遺稿は松井佳一(まついよしいち)氏の金魚関連の著書中最新(1976年)のもので、氏もずっと気にされていたのだろうと感じる。

宮城県のHPによれば鉄魚はキンブナの変異体なのだが、献上魚でさえ交雑魚であったとするのであれば、流通している鉄魚はみんなその系統である可能性がある。むしろそうでないとしたら、一体それはどこの魚なのだ?と言う話になるまいか。

「鉄魚」を分譲してもらう際に必ずその由来を尋ねるようにしているのだけれども、「奥羽山系」のブリーダー氏による長尾鮒以外、つまり「魚取沼純系」と言われているもの(長尾と色付きの2芸品)で、ここまではっきりとした来歴は寡聞にして知らない。

北海道の鉄魚・緋鮒も含めて、赤化・白化・黒化等の変異は無論起こりうるし、起こってきただろうが(関東産キンブナの透明鱗は見たことがある。キンブナ透明鱗としてブリードされているものは、東北各地のキンブナ系のものを集めて創られた系統らしい。行基ブナについては不明。)、金魚の放流が明治~大正期(あるいはそれ以前から?)に行われてしまったため、100年も経ってしまった今ではその起源が分からなくなってしまっている。

もし本当に魚取沼の鉄魚が純粋なキンブナの変異体であり、「開き尾まで出現する超変異体系統なのだよ」となれば素晴らしいが、金魚との交雑がまったくない遺伝子検査済み合格の系統を確立して貰わない限りこれ以上手を出す気にならなくなってしまった・・・。

*東北のキンブナ・ナガブナ系の不明種はクローン系統の可能性があるが、自分では関東型と認識してきた背鰭の軟条数が少ない普通の「キンブナ」(参照:魚類写真データベース)も普通にいるようだ。

2012年9月29日土曜日

偽ヒブナと偽テツギョ

旧仮名遣い表記である為やゝ読み難く、
故に数年来ほっとらかしとなって居たが題名通りの興味深い内容であると思ふ。



科学と趣味から見た金魚の研究」(著)松井佳一を眺めていたら、「朱文金」の親の「ひぶな」についてちゃんと書かれていたよ。

まず、初代秋山吉五郎氏が「ひぶな」としたものは、検定交配の結果6%程度の開き尾が出現。金魚との雑種と確認された。残念。



ともあれ言いかえれば「朱文金」には「ヒブナ」でこそないものの、「マルブナ」の血が入っている可能性はないわけでもない。この「マルブナ」と言うのがなんなのかよく分からないのだが、「平鮒、丸鮒。又は金鮒、銀鮒」と言う記述からも「ギンブナ」と推測。3倍体じゃない系統なんだろうか。



ちなみに秋山吉五郎氏の「朱文金」作出の際、自由交配で2万尾の内14~15尾しか出現しなかったのだと言う。これってつまり「ギンブナ」が親として機能していなかったと言う説明にならないか?


松井氏の著書では最近のものほど情報が更新されていると思われるし、ダイジェスト版である「金魚」もサイズの割にはかなり詳細に書かれているが、やはり本書は別格。





保育社の「金魚」掲載の写真だとやはり「ギンブナ」っぽく見える。おそらくこれ自体も金魚との雑種と推測。顔が丸いのでナガブナ系ではなさそうだし、鱗の色がキンブナっぽくない。背鰭の軟条数も多いように見える。一応数えてみると16本か17本程度。



同書に「朱文金」の写真もあり、ちょっとヘラブナや北方系鮒っぽい体型をしているのが気にはなるのだが、おそらく片親の「キャリコ出目金」の体型からだと思う。



金魚と言っても品種によって体型がまったく異なるので、ショートボディのものなんかは骨自体が詰まっていたり、減っていたりしている例もありそうなので平均化するのに無理がありそうだが。

金魚の背鰭軟条数については

14本~15本がそれぞれ1%。16本が16%。17本が44%。18本が38%。

であるとのこと。
基本的には17~18本が殆んどであるようなので、一応「キンブナ・ナガブナ」か「キンギョ」かの簡易判断の基準にはなる・・・・と思ったのだが、松井氏の全国50数か所から採取したサンプルでは14~18本、17本が 最頻値 であるとか・・・なんだよ。区別できんじゃないか。
それもその筈、ギンブナ、キンブナ、ナガブナ等区別せずに統計を取っているようだ。



ちなみに諏訪湖で発見された天然産の「ひぶな」、山形県若林沼の「テツギョ」、朝鮮咸鏡北道鏡城公立小学校内の城ヶ池の「テツギョ」も「キンギョとの雑種」だろうと書かれている。

「魚取沼純系の鉄魚」
とのことだが、う~む。キンブナの変異体にしては背鰭が・・・
確証がないものは使えない・・

ただ、意外だったのは「魚取沼」のテツギョを雑種とは断定せず今後の遺伝子検査にゆだねるとしていたり、「厚岸」のヒブナを野生としていたりもする。



「金魚と日本人」の鈴木克美氏が著書で松井氏の意見について補足や訂正されていたのでちょっと誤解していたけど、かなり古い本にも関わらず科学的で冷静な判断をされていると思う。


なお2000年の「厚岸町教育委員会のヒブナ調査報告書」と言うA4サイズ17頁の冊子にはヒブナの写真があるのだが、背鰭の軟条数は不明。顔は小さくナガブナっぽくないが、キンブナ系ではあるかも知れない。山形のキンブナ系がこんな顔つきだったような気もしないでもない・・・。

「山形県産 キンブナ」
いややっぱし気のせいかも・・・。やっぱり鮒類の外見からの判別は無理だよ。
とは言え、顔つきや色合いの違いが系統の違いと一致しないと言うのは、感覚的にどうも釈然としないのだが。

論拠
「日本産フナ属魚類(Carassius)の遺伝的実態と系統関係」 山本軍次・高田未来美・井口恵一朗・西田  睦 本論文 57(3): 215–222

日本主列島・中国・ロシアから採集したフナ属魚類(Carassius,以下フナ)のミトコンドリア DNA 調節領域前半部の塩基配列決定および核 DNA の AFLP 分析に基づき,日本産フナに現在提唱されているすべての種・亜種,すなわちゲンゴロウブナ(C. cuvieri),ナガブナ(C. auratus subsp. 1),キンブナ(C. a. subsp. 2),ニゴロブナ(C. a. grandoculis),オオキンブナ(C. a. buergeri),ギンブナ(C. a. langsdorfii)の遺伝的実態と系統関係を推定した.その結果,ミトコンドリア DNA の系統解析と核 DNA の系統解析からはほぼ同様の樹形が得られ,上記の種・亜種の中で,遺伝的・系統的に他と明瞭に区別できたのはゲンゴロウブナだけであった.
Carassius auratus では,いくつかの系統が確認されたものの,どの系統も 5 亜種とは対応しなかった.
Carassius auratus の5亜種はどれも他から遺伝的に独立しておらず,互いに区別できなかった.
独立種として扱われることもある 3 倍体亜種のギンブナは,同所的な 2 倍体と多くのハプロタイプを共有し,異所的な 3 倍体よりも同所的な 2 倍体と近縁であった.ギンブナを含む日本産フナ類の系統関係は,従来考えられていたよりも,はるかに複雑なものであると考えられる.


「(略)3 倍体性は、一部のフナだけが持つ性質ではなく、全てのフナの系統が持つ性質で、各地域で繁殖を通して 2 倍体から 3 倍体が、3 倍体から 2 倍体が恒常的に生じている可能性があると考えられました。 (略)」

[補足:同ソースより抜粋]
(1) 世界に分布するフナ類は、ゲンゴロウブナ、ヨーロッパブナ、その他のいわゆるフナの 3 種に分けることができる。その内のいわゆるフナは、さらに 2 つの大系統から成る。 
(2) 2 つの大系統の歴史は非常に古く(約 400 万年前に分化)、一方は日本列島に固有で他方は大陸・台湾・琉球列島に固有。前者はさらに 3 つの地域固有系統から成る。 
(3) これら 3 つの地域固有系統は。日本に分布するといわれるキンブナ・ギンブナ・ナガブナ・ニゴロブナ・オオキンブナなどと呼ばれるグループとは対応関係がない。また、3 倍体性とも対応しない。 
(4) キンギョは全て中国系統の一員。 
「ギンブナの倍数体は雑種起源であるらしい」 (情報が少し古めかも)
via MEDAKAFISH HOMEPAGE 
 単性個体群である倍数性ギンブナの起源については不明な点が多いが,野生集団の アイソザイム解析やゲノム中の反復配列の解析から雑種起源である可能性や在来の2 倍性種のゲノムの関与が示唆されている。
 筆者らは、日本各地で採集したギンブナについてその倍数性とアロザイムパターン を調べ、キンブナ、ゲンゴロウブナ、韓国産フナと比較した。AMY-2のバンドパター ンに関して2倍体はギンブナ、キンブナ、ゲンゴロウブナともA型であったのに対し、 AB型の個体はすべて3倍体であった。一方、中国産フナに由来する金魚や韓国産フナ はB型であった。また、東日本の倍数性ギンブナにはキンブナ由来のPGMの対立遺伝子 をもつことが明らかになった(19)。これらの結果は倍数性ギンブナが日本産フナと 大陸産フナの雑種起源である可能性を示唆するものであったが、倍数性ギンブナに特 異的な反復配列が日本産の2倍性フナや金魚には認められない(20)ことから、AMY-2 Bとこの反復配列をもつギンブナの一方の祖先種は未だ明らかになっていない。今後 、大陸産フナ類の広範囲に及ぶ遺伝子調査とギンブナ倍数性個体のゲノム構成の詳しい解析が待たれるところである。



厚岸のヒブナは白とオレンジの混じったような薄い色であまり綺麗には見えず、「春採湖」のヒブナほど赤くないそうなので、金魚との雑種ではないかも知れない。だが、北海道のフナの例に漏れず3倍体以上のクローン系統である可能性は極めて高いと思われる。松井氏の研究でも「♀100に対して、♂13匹」としているので、少なくともサンプルの一部ではギンブナがほとんどであったようだ。



2012年9月1日土曜日

2012年度 自家産金魚 鋭意交配予定中 その④のその②

「朱文金和唐内型」 一ヶ月後
完全水槽の密飼いの割に結構大きくなってきたなあ。「咲ひかり」も効いてるのかな。
ヒレは長いがつまらない。体高があるのはいいのか悪いのか中途半端な気も。


片親が素赤の割には、黒の乗っている個体も少しいるのが面白い。が、おそらくこれ同士で仔引きしても赤系統がうじゃうじゃ分離してくると思う。

この辺が「固定品種」とただの「雑種」との違いなのだが。

そして面白いのが、どうもほとんど「透明鱗」なのである。もちろん「普通鱗」も多少はいたけど、「網透明鱗」には気付かなかった。

あとはきわめて普通。尾にしても、体型にしても、金魚としては凡庸な「和唐内」型。フナ尾だから区別すべきかな。和金はフナ尾も三つ尾も同じ名称になってるけど・・・
朱文金とキャリコ出目金が交配親なのだから、作出過程ではキャリコ和唐内が大量に出た筈なのだが、どうして「ヒレナガフナ」型に固定されたのだろう?


だいぶ前だが、金魚仙人の緑系金魚の初期の黄金・浅葱系統の魚の中で、琉金・土佐金のように体高はあるが短すぎず、頭はあまり尖っていないちょっと「鯛」っぽい個体を見たことがある。ある意味「和唐内」型なのだが、なかなかの良魚だったのを思い出す。


品種としての「和唐内」が確立されたことがあるのか良く分からないが、中途半端でない琉金でもフナでもない形の魚って意外にいないのだろうか?




ところで、「フナ」と「金魚」の違いってなに?と訊かれた場合どう答えればいいのか。


あまり知られていないと思うが、野生のフナの変異体の中には、ヒレ長の「テツギョ」や、朱色、白色、青色(青文)と言った、金魚顔負けの「ヒブナ」もいる。故松井博士には、「金魚との雑種」と一蹴されてしまうかも知れないが、金魚の祖先もフナである以上同じ変異体の出現はあり得る。

「メダカ」では「蚤種型(せびれ欠き)」や「3つ尾」まで出現しているのだから、絶対に出ないと言うことはないだろう。だが、これを「作出」しようとすると話は別だ。おそらくほとんど変異が起こらないと思われる。実際、松井博士もフナの交配実験を行った結果「無理」と判断している。

「青文色」
ワキンで黒系統の色の魚は、コイフナの「ブラック・コメット」しか見たことがない。
青文魚旧型のように、理屈の上では普通体型で青黒い魚がいるのは不自然ではないのだが、固定できないのだろうか。


「東北産ヒブナ」
顎の形状が特徴的でいわゆる「ナガブナ」タイプ。
背鰭の軟条数もほぼ一定しているので、このタイプはひょっとすると「クローン系統」かも知れない。
と思っていたのだが、それを裏付けるような記述を北海道のヒブナの報告書に発見。

この「ナガブナ」型のフナは東北から北海道にかけて存在し「キンブナ」に比べて大型になる。
「オオキンブナ」がこれに相当するフナではないかとも思わないでもないのだが・・・国外からの「移入種」との説もあり・・・


個人的には「遺伝子検査」も「検定交配」もせずに推定するとすれば、「キャリコ」体色がその決め手の一つになると思う。

自分での知る限り、「キャリコ」色のフナの変異体は見たことがない。と言うか「網透明鱗」でないフナの透明鱗版「行基ブナ」は少なくとも今のところ存在しないのではないかと思う。

「ヒブナ網透明鱗」

「和錦城」さんの「網目透明鱗ワキン」とウリ二つ。

東北ブリーダー作出の「純国産金魚」と言っても良いだろう。日本金魚界の快挙と言うべきである。
クローン系統でないので♂もおり交配も出来た。が、顔つきが同地域の「フナ」と似ていないのが気になる・・・。



無論、「出目」「水泡」や「花房」「珍珠鱗」などなど、いろいろな特殊な遺伝形質が金魚にはある訳だが、「アルビノ」や「劣性透明鱗」と言った比較的自然界でも散見される変異に比べると、極めて出現頻度が低い。と言うより「見たことない」。

同じ方向に改良を進めるとなると、日本のフナが中国金魚に追いつくのに何百世代かかるのやら・・・。

今自分のやっている交配も、中国のブリーダー達が積み上げた変異の賜物だものなあ。


でもまあ「朱文金」系統の品種が、先祖がえり的な原点見直しによって人気を得ていることからも、宇野氏が言ったように、素人にも好まれるような魚にするのが一番なのかも。

2012年7月31日火曜日

2012年度 自家産金魚 鋭意交配予定中 その④のその①

「朱文金和唐内型」


この手の雑種金魚の形態を記述する時には、いつも結構悩む。
希望としての品種名と、実際の見た目が違うこともままある。
漫然と交配させていると、「一体何をしたかったの?」と言いたくなるような魚になってしまうこともあるし、逆に思わぬ良魚に見えたりもする。

「朱文金」のような普通体型の魚に長い尾鰭をつけたような品種は欧米では人気があるようで
ヒラヒラした尾や色合いが好まれるようだ。かえって中国金魚は不気味に見えるらしく、あまり評判がよろしくない。

とは言え、今更「朱文金」の改良品種を造るのもどうなの?てな感じで、「ブリストル朱文金」なんかも、どこが良いのか分からなかった。と言うか「蝶尾と掛け合わせておいて、なんで3つ尾にしなかったの?」と言う疑問がぬぐえなかった。


輸入直後はえらく高価だったものの、現在ではそれほどもないようで。まあ、所詮は「朱文金」であるから、すぐに増殖されるだろうことは予期出来たものだが。


そもそも「♡テール」にあまり魅力を感ぜず、「ブリストル」と言えば「ポップグループ」以下「トリッキー」「ポーティスヘッド」ら「トリップホップ」系「ブリストル・サウンド」だったのだが・・・・・・

う~む今聞くと、すごく90~00年代的なデジタルサウンドエフェクト群だなぁ・・・
つーか。最近少しは変わったのだろうか・・



GREENの店長さんが選抜された「寿恵廣錦」の親魚の動画には素直に感心した。
扇状に広がった大きな尾は見ごたえ抜群。
「横見金魚」の最高峰であると思う。


思い返せば、NHKで放映された金魚番組で、ブリストルの現地ブリーダーが「尾が垂れる」などの理由で、老魚を庭の池に放していたのだが、その尾も立派であった。パラダイムシフトと言うべきか、良い鑑賞点の転換を行ったものだと思う。

GREENさんには以前、ザリガニ等も通販されていた頃に、珍しい輸入金魚(最近全く見かけなくなった、青文ライオンヘッド花房付き、燈眼丹頂龍眼、浅葱蝶尾など今考えれば、ちゃんと保存しておけば良かった・・・)でよくお世話になったものだが、今は金魚に専念されているようだ。

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話は戻って、この稚魚だが、「パールスケール」と「朱文金の青系」との交配である。
「青朱文金」
厳密には墨から赤が出てきちゃっているので、この魚のように鱗に墨斑点が乗ったタイプではなくて、
皮膚にメラニンが乗っただけの「天青」タイプの「青朱文」の方が希少性はあるのかも知れないが、
こちらの方が外人受けはいいし、個人的にも美しいと思う。


まったく交配する予定はなかったのだが、どちらかが死んでしまった場合の保険として掛け合わせておいただけ。

ちなみに、「パールスケール」には出目の遺伝子が入っていないことは確認済みなので、この交配魚から出目になる可能性は低い。ただ、元が中国金魚の血が濃厚に入っているので、予期できない部分もある。


対する「朱文金」は、近代日本金魚の最古参であり、これもまた当時交配テクニックを駆使して作出された最新品種であったろう中国産の「三色出目金」に、わざわざ「ヒブナ」等を掛け合わせた、先祖がえり的な後退交配品種である。


だがこの「ヒブナ」と言うのが曲者なのだ。


まず、「フナ尾のワキン」なのか、日本のフナの変種である「ヒブナ」そのものなのか良く分からない。「ヒメダカ」「シロメダカ」は江戸時代にすでに存在したのだが、「ヒブナ」がどうなのかは良く分からない。

そもそも金魚の輸入自体が「大航海時代」まで遡り、明治時代には各地にワキンが放流されている。北海道の有名なヒブナもどうやらその子孫らしい。

そんなこともあってか金魚博士こと松井佳一氏は、「テツギョ」をただの金魚と鮒の雑種とみなしていたようで、「金魚」はともかく「フナ」の事はどこまで真剣に研究されていたのか疑問である。


「日本産フナ類」とその変種である「ヒブナ」と「テツギョ」については、いろいろと調べてみており、面白い情報もあるのだが、いずれまた。


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結論から言うと、この片親である「ヒブナ」は、おそらく「日本のフナ」ではないと思う。

と言うのも、関東で作出された「朱文金」の親となるのなら、「キンブナ」か東北以北の「ヒブナ」であろうけれども、「関東キンブナのヒブナ」と言うのは聞いた事がないし、背鰭の軟条数が大きく異なるので、子孫の容姿にも影響が出ると思われる。

東北以北、特に北海道などの「フナSP(キンブナ不明種)型ヒブナ」は、3倍体以上のクローン系統が多いようであるので、万が一交配に使用出来たとしても、その「ハイブリッド朱文金」自体が新たなクローン系統となってしまう可能性もあるからである。

となると一番入手しやすい「ヒブナ」は、「フナ尾ワキン」であるとみなして良いだろう。

ただ、「金魚」松井佳一著(昭和38年)には、「サンショクデメキン」と、「ヒブナ」と「フナ尾のワキン」との自由交配である。と明記されており、ヒブナの写真もあるのだが、背鰭の軟条数は17本+1であるので、「ギンブナ」あるいは、「金魚との雑種」(関東で生産されている「オナガブナ」も雑種であり、「テツギョ」とは別種)と思われる。



まあ、DNA検査をしてもらわない限りは、唯一の「日本産血統金魚」である可能性はまだある。


ところがね。実際にはもう「純国産金魚」と呼ぶべき魚が存在するんですね。
これもDNA検査してもらってちゃんと確認を取ってもらうのが最良だとは思うんだけどなぁ。

その②へ つづく

2012年5月28日月曜日

無融合生殖

斑入りの「山芋」を栽培しているが、「ムカゴ」が沢山できる。
ムカゴならば本体のクローンの筈なので、親と同じものしか出ない筈と思うと、そんなことはまったくない。

と言うか、ムカゴには斑入りの遺伝子は受け継がれてないのだろうとさえ思ったくらい全然斑入りにならなかったので、すっかり放っておいた。

が、ふと下を見ると「こぼれむかご」から斑入りのやつが生えている。


よく見ると、もう一つ、二つくらいは斑入りになっているのもいるが、確率としては5%いくかいかないかくらいな気がする。
手に入るなら「芋」を切って増やした方がいいと思う。でもまあ、斑入りじゃなくても食えるからいいか。


「斑入りヤマイモ」の子



「むかご」と言えば、「石化コオニユリ」のムカゴから育てている奴もあるが、3年経た現在の所「石化」しておらぬ。意外と順調に育っていたのだったが、なんだか作落ちし本数も減ってきているので、来年まで保たないかもしれない。けっこうしたのになあ・・・。✹後日、プランターから太ったコガネムシの幼虫を発掘した。球根が消えていた・・・ああああ。



一時期「石化」「帯化」「綴化」とか「異形の植物」に凝っていて、「サボテン」や「たんぽぽ」もそれ経由で実生始めた。

そう言えば「斑入りたんぽぽ」もクローンの可能性があるとしたんだけども、斑入り率は最高で20%程度くらいな感じかな。一つの花で一本しか出ていない鉢もあるので、最低2~3%かも。しかも斑入りの良い親株からの種子。

ちなみに、斑入り植物は「母親」からでないと斑入りの遺伝子が受け継がれない。有性生殖なら「金魚」みたいに「劣性遺伝子」を想定して計画交配できるのに。斑入りとかはバクチみたいなもんかも。



ともあれ、この「むかご」とか「たんぽぽ」や「シダ」などの植物の「受精を伴わない種子生産」のことを「アポミクシス(無融合生殖)」と呼ぶのだそうだ。


シダ類は結構好きで道端や山から採ってきたりもするのだが、葉が赤っぽくて美しい「ベニシダ」なんかが「無配生殖」する。てっきり有性生殖による多様性の結果とばかり思っていただけに、意外な気がした。

✯「生きているということ ―分類学を科学に」 によると、日本では「無融合生殖種」の割合が外国よりも高いそうで、その原因を弥生時代以降の「人為的撹乱」と推測している。その母体となる「有性生殖型」は、人里離れた自然環境に局限されているとか。


関係ないけど、北海道の「春採湖のヒブナ」もギンブナ系のクローンだったな。そして同じように「クローン系」と「有性生殖系」が共存し遺伝子交換しているそうだ。





しかし「ベニシダ Dryopteris erythrosora 」は雑種起源と何処かで読んだような気がするんだけど、違ったかな・・・。ともあれ、「シダ類」は「無配生殖」と同時に「種間雑種」も多いのだそうだ。

で、その「種間雑種」を作出する為に、とりあえず「胞子」を確保できたものを一つの培地で実生してみた。


「胞子親」は「ニシキシダ」「ソナレヤブソテツ」「オクマワラビ」「ヒトツバ」「ノキシノブ」等々(名前が不明なのもある)の「斑入り」や「獅子葉」等。
「ニシキシダ獅子葉」
「ニシキシダの斑入り」もあるのだが、斑入りであるのが大して意味のないような「模様斑」の美しさ。
確か基本種の「イヌワラビ」にも斑入りがあったような・・・

昨年の秋くらいに播いてみたのだが、すこし土が緑色になったなあと思ってからが長かった。ふつう数カ月で「前葉体」になるらしいのだが、3月くらいまで大きな変化なし。失敗かと思ってたら、ここ2か月くらいで一気に「ワカメ」とか「ゼニゴケ」みたいな物体を形成し、最近になってようやく葉っぱが出来上がってきた。




なかなかシュールな形態。

左右非対称なのは「獅子葉」なのだろうか?

葉の形態から察するに別々の種が入り混じっているのであるが、なんだか見当もつかない。

どうもシダの実生は、春先に始めた方がいいんじゃないかと思うんだが、こう言うのって誰も書いてないんだよ。

まあ、これも実験と経験だな。