2016年2月27日土曜日

いろいろ実生品とかの続き


「アオキ 満月
ちゃんと赤くなった。
縞実ではあるが白実ではなかったのか。栽培してみないとわからんもんである。これが完熟のサインだと思うので、皮を剥いて即刻株元に取り蒔きした。
ナメクジの食害が気になるので後で別の鉢に植え直した方がいいだろうなあ。

「獅子葉のフモトシダ(?)の実生」
適当に石化する。
いわゆる損傷による一発芸ではない「本芸品」。実生ならではの個体だと思うが本来は選別すべきなのかも。だが、やはり自作だし味があってちょっと思い入れがある。もっと豪快に葉全体が変形する個体が出回っているので需要はないだろうけど。園芸ってむつかしいな。

こっちの葉はより獅子葉。まあ、いろいろな葉が出るのが面白い。
山へゆく人なら見慣れたものだろうが全体的に黄色になっているのは寒さのせいであると思う。これを「斑入り」とか「黄葉」とか言って出されると困る。採った本人しか分かんないし。シダの斑入りはレアなだけに高額で、時々痛い目を見る。流石に懲りたのでもう買わないけど。

右奥の*「亀甲竜(Dioscorea elephantipes)」みたいな根塊は「リュウビンタイ」のもので「黄葉」とのことだったが、どうやら「ホソバリュウビンタイ」(参照元:ノパの庭さん)だったようでそっちは採光によっては黄色っぽくなるようなのである。そんなの普通は分かんないよね。あるいはそんなのも分からないシロウトは騙されても当然だと言うのか!

・・・ま、そうかもね。

* 実生したことある。たぶん雨に当たらないようにすれば屋外栽培可能。多肉やサボテンは過湿にさえならなければかなりの種が地植えできると思われる。ロックガーデンで高山植物の横に兜や球根性アサガオ、今ならイワヒバとかが鎮座しているようなヘンテコな庭園のを創ろうとしていたので・・・

「ヒトツバの実生」
結局、管理が悪かったらしくて数個体しか残っていない。あまり期待していないが一応は変形葉もあるようである。ちゃんと手をかけておけば良かった。少しずつなのだが、栽培技術の向上とか経験(主に失敗だけど・・・)の蓄積もある。

「トガクシショウマの実生」
取り敢えず出てきましたが。もう少し蒔いたような気がするんですけど・・・

「タマアジサイの実生」
近所の沢の脇から採取してきた種からのもの。
この葉長1㍉程度の極小芽がそれの筈。 

「タマアジサイの実生 別の山」
これが雑草のものでなければ、今が芽生えの季節と言うことでよろしいでしょう。昨年の実生のものは発芽写真を撮ってないようなのであんまり自信がないけど。

「ヤマアジサイ 2015年の実生」
昨年のものは冬越しに成功して新芽が動き始めた。
斑入りとか変わり葉の個体はないようで。とりあえずは習作だが、これはちょっと石化しているっぽい気もしないでもない。が、これは普通なのかもしれないし特に期待はしていない。
全体的にタマアジサイよりも成長が良い。

「フェイジョアの実生」
やっぱりミツバの双葉に似ている。知らなければ引っこ抜いているところだ。

「斑入り ツクシスミレ?」
極小の花である。よく見るとアブラムシがついているので寸法の比較になるか・・・

カンアオイの斑入りは邪道だと思っている自分ではあるが、スミレは斑入りばかりを集めていたりした。過去形なのは今はそうでもない為。

スミレの問題はいくつかあるが、最悪なのは脱出してしまうこと。札と中身が入れ替わるなんてザラだし、遥か彼方から突如出現したりする。ツクシスミレも例に漏れずいたる所から生えてくる。にも関わらず地植えにしようと思って庭に蒔いても出てきやしない。スミレ栽培をされている方は本当にマメなのだろうと思う。

しかしながら閉鎖花をつけるので実生は簡単だし固定率も高い。成長も早いので累代を重ねられる。そうなればキスミレなんかも馴化し易い。ただやはりちゃんと自生地の環境を把握していないと栽培が難しかったり、場所が気に食わないのか種を飛ばして逃げてしまうのはどうしようもない。また株の寿命がいくつまであるのか分からないが、数年でいなくなるのもある。

個人的には逃げ出さない宿根性のもので、花物の割には花期があんまり長くないのが玉に瑕なので、葉芸がある方が栽培意欲を維持出来る。「フイリヒナスミレ」(参照:フォトサロン風花さん)は葉模様もキレイでオススメです。種を飛ばしてしまうのか🐜が運ぶのか他所の鉢で旺盛に繁殖していたりもしますが多年草。また、葉の形がスミレっぽくない「ヒゴスミレ」なんかは何故か全然作が上がらずに消えてしまうことがあるので好きだけれども馴染んでくれないもどかしさもある。

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おまけ(*実生品ではないですが。たぶん。でもわかんないな。とにかく無銘) 

「オナガカンアオイ 桃花 無銘品」
でれんとしてやや上向きに展開。これが撮影でよく使われる満開の花容のようである。 だらしなく寝そべってきた気がしないでもなく、なんだかちょっとアレを想像してしまう。


改めて拡大してみるとトリフィドとか彷彿させられる異形の花である。喰われそう。(*白いのはバリダシン粉剤の痕。カンアオイは基本的には丈夫なんだけれども虚弱でもあると言う。なんでまた白絹病にこんなに弱いのか・・・)

なぜ南九州の一部だけでこんな植物になってしまったのか。フーディアの実生をまたやりたくなってきた。

アレ

椿 2月末までの

「友の浦」
最近埋め立て撤回でニュースになったポニョの鞆の浦じゃないのか・・・
「日本ツバキ・サザンカ名鑑」には何故か収載されていないので、未登録品種なのか1998年以降の新品種なのかは不明。「玉之浦」の交配品種らしい。大輪。昨年よりもきれいに咲いている。

追記:旧ツバキ図鑑では見つからない品種があって困るので最新版を購入したら収載されていた。
「友之浦」(埼玉)群馬県の江畑友雄氏が親不明の偶然実生から選抜。2005年平井湊晨氏発表(参照:最新日本ツバキ図鑑)。


「玉之浦」はある程度作が上がらないと写真でよく見かけるあの凛とした姿にならないと言うが、こちらはちゃんと覆輪が出ている。
綺麗には綺麗なんだが、山野草的視点からするとちょい派手かも。さらに海外で交配された装飾過多なのもあるし、おそらく花を目的に自分で交配したのならそれを目指したとは思う。

「玉之浦」は所持しているが、あまりにも有名過ぎてここで語る気がしない。から写真を撮っていない訳ではなくてまだ咲かないのである。いつになったら見られるのか・・・

雄しべの一部が弁化しかけている。
「友の浦」
「友の浦」
「紅葉狩金魚」
開花は何年かしているがいつもこんな感じでまだまだ。ちゃんと咲くようになったらマシな写真を撮ろうと思ってたので札を見てない。雌しべがなく、雄しべが変形しているが花粉はある。

「金魚葉」芸もいまいち。なお「錦魚葉」と書く方が正式なようだが、「斑入り」を意味する「錦」が入っていると紛らわしいのであえて平易な方で書く。 

「ヤブツバキ 変わり葉」
無銘として入手したが、銘品かも。
丸葉に枝垂れあるいは雲龍芸で、「七変化椿」とかと同じものかも。
なお「玉之浦」もちょっと枝垂れかける性質がある。

「変わり葉 無銘」
小輪で普通の花。銀葉椿と同じくらい。

「五色斑椿」
斑入りのヤブツバキとしては一番入手しやすくかつもっとも芸の良いタイプの一つだと思う。あまりにもド派手なので全然育たない・・・またこの白い葉をナメクジが好むのである。

派手柄と言えば、斑入りの黒椿も入手しやすい二芸品なのだが、全然成長しない。二回も失敗しているし、よく営利栽培できているものだと業者さんの栽培技能に関心する。

錦葉(斑入り)の椿はそこそこ集めているがなにせ成長がよろしくないので開花に持っていくまでに一苦労。交配できるようになるまで最低でもあと数年はかかりそう。錦葉錦魚を創りたいと思って集め始めたのだけれども十年単位の計画になりそう。

「斑入りヤブ椿 対馬産」
これ実は「深覆輪」になった部分だけを挿木をしようと思ってはいたのだが、全然大きくならないので様子見していたもの。昨年まあまあ作が上ったかなぁ・・・と眺めていたら急に思い立ってパチンと枝を切ったもの。

でも、これだけ葉があっても、実質1枚程度の葉緑素しかないよね・・・育つんだろうか。挿木とかはあんまり上手く行ったことがないので不安・・・でも経過観察するいい機会だ。いずれカラタチバナの接木とかもやってみたいが、未経験なので全然自信ない。

五色斑入りの椿とは違う「後冴え」でいろんな斑が出る。そう言うタイプは芽変わりじゃなくて、元々は実生品なんじゃないかと勝手に思ってる。

なお覆輪は枝変わりだと思っている。また遺伝しないので基本的には所持していないが、錦葉黒椿のように二芸品だけは多少ある。蒐集するだけなら覆輪の方が安定していてキレイである。最近になって芽変わりも古典園芸的には大切なのかもと思い始めた。

2016年2月20日土曜日

怪しい菌液の威力

松葉蘭 麒麟角」
そこそこの株立であったのにたった2本になってしまった・・・(*前回の麒麟角とは「別株」。一番好きな品種なのでいくつか所持)ものすごく作落ちさせてしまってもうダメかと思っていたが、あの黒い菌液やら、塩蔵ワカメ入りの塩菌液やらをやりまくったらば、


根茎からウジャウジャと新芽が上ってきた。
数えようと思えば数えられるが、敢えて言おう。数えきれんよ。
春には元通りかそれ以上になっていそうだ。

古典園芸植物は株分けが基本なのですべてクローン。なので「別株」と言うと語弊がある気がするが、「麒麟角」は芽変わりが出やすいそうでいろいろな形態を表現する。

実際ウチでも「麒麟獅子」(こちらも作落ちで絶えそう・・)っぽく極太軸に途中から細い分岐が出るものもいれば、「青珊瑚」(未所持)っぽい枝分かれが少ないもの、本物のサンゴっぽく太軸でも全体的に分岐するものや、「福禄寿」(枯れた)的に細めのものなど出る。

ひょっとして上記の品種も元々は一つの株だったなんてことも無きにしもあらず?すくなくとも株元に胞子が落ちて実生苗が出来てしまうともう分からんと思う。マツバランの根茎は他の植物とは異なる独特な形態をしていて絡まりあったら大変。

作の影響はあると思うが、肥培しても太さ以外は各形態に変わりがないように見える。それぞれを「変わり」が発生している部分で分離したいと思うが固定できるかどうかは分からない。

また、ずっと気になっているのだが、芽変わり品の椿は、オリジナルの椿と交配可能(参照:果樹の受粉マニュアル)なのだろうか?つまり遺伝的な隔絶が生じているのかどうか知りたい。

「松葉蘭 玉龍角の斑」
例年、現状維持であった。つまり1本枯れ、1本上がるといった塩梅。

「玉龍角の斑」 

なんと今季は6本も新芽が上がり、かつかつてなかった程太い(最大1.5倍くらい)のもある。中軸品種の筈なのだが細軸でおかしいとは思っていたが、肥培しないとダメだったのだ。

だが、今まで肥培していなかった訳では決してない。大量の化成肥料を乗せ、大量の水もやっていたのに全然効果がなかったのである。早い話が吸収出来てなかったのだな。 

怪しい肥料や濾過装置の宣伝みたいだが、普段再現性のない趣味の実験ばかりしている中でこれだけ結果が伴うのは我ながらそうそうないよ。糖なのか可溶化されたリン酸なのか知らないが、マジで何かが効いた。カサカサしていた草肌もツヤが出てきているものがある。単に葉面散布した糖が残ってベタついているだけかも知れないが、ワックス的なものも出ているのだろうか?

特に麒麟角はもともとテカテカしていて蝋細工のようで保湿効果のせいか他のマツバランよりも乾燥に強いのではないかと推測している。

なお、菌培養液(特にラン菌)は葉面散布しない方がいいみたい。塩など問題外だと思う。ただし、塩分ストレスで生存本能が活性化された可能性も捨てきれないでいるにはいる。また、マツバランには塩分はそれ程問題でない気もする。潮風の吹きつける久能山東照宮にも生育しているようだし、シドニーのオペラハウスにも着生しているらしい。

「植物の進化形態学」著:加藤雅啓氏の第四章「地下茎」によるとマツバラン(プシロトゥム・ヌドゥム)の地下茎は他の現生植物の器官とは異なり、中部デボン紀の古生マツバラン「Psilophyton crenulatum」の地上茎・地下茎の分裂組織の性質を残している可能性があるとのこと。その形態の研究の為に水耕栽培(曝気)をしたそうな。

マツバランが水を好むことは知っていたし、水中でも栽培できるらしいことも知ってはいたが、陸棲化が進み始めた頃の化石植物と地下茎の構造が同じであれば海水への耐性もあるのではないかと思わないでもない。なお、「プシロフィトン・クレヌラトゥム」の地上茎はぐちゃぐちゃで規則性がないように見え石化品種の「太平楽」や「麒麟角」をトゲトゲしくしたような感じである。マツバランにはトゲっぽい突起があるものがあるが、コレと同じ組織だとすると納得かも。


「プシロフィトン・クレヌラトゥム」

upside down?
Psilophyton crenulatum (参照:イェール大学 ピーボディ自然史博物館
「麒麟角系の実生株」
こちらの新芽の上がり方も半端ない。シダ類の日照斑は日焼けだと解釈しているが曲折した枝ぶりを見るにこれは日照不足。にも関わらず黄色に色揚がりする。どうやら成長中の枝がこうなるよう。

左側から生えているものが本体、太軸ではあるが「門かぶりの松」のように横にひょろひょろと枝が伸びる性質がある。中央の新芽もその傾向があるのでこの個体の「本芸」とも言えるのかな。

対して右側のやや矮性のものは同じ株だと思うが別物かも。本体と一緒に別の根茎を植えこんだかどうか今となっては定かではないが、太さも2倍位ある。何せ実生ものらしいなので良く分からないが、麒麟角の元々の性質を考えると同じ傾向である。

「全体像」
老化してきたが本体(右側)はまだ無事。
液肥の効果か本体の枝先も伸長しているようだ。
新芽は全体的に太く伸びているのが分かる。


「マツバランの一生」 Plant Science 4 U

2016年2月19日金曜日

ウスユキソウ

日本のエーデルワイスであります。

南じゃない方のアルプスの山の頂の雪の間にいるようなイメージがあるが富士山にもいるそうな。

ちなみに現在は休眠中で地上部は枯れている筈で、ハヤチネウスユキソウの変種と言われたオオヒラウスユキソウの葉の一部はかろうじて生きている。花もないし写真を撮るほどのものでもないと思ったが、記録としては残しておいた方がいいのかな。そろそろオキナグサたちと共に芽が上がり始めてはいる。

ウスユキソウ(Leontopodium japonicum)を除く、ハヤチネ、エゾミヤマ(ヒナ)、コマ(ヒメ)、の各ウスユキソウ類の根生葉は花時生存(参照:日本植物ハンドブック)。

↑↑書き溜めていたもの(いなくなっても毎月投稿されるようにしてある。・・なんて気の利いたことはしないが、気分や忙閑のむらが気になったので)。2月末には芽が展開し始めた。

「オオヒラウスユキソウ」
写真が前後しているが、以下のポット苗たちは2月末のもの。
「ハヤチネウスユキソウ」
「チシマウスユキソウ」
「レブンウスユキソウ」
「キリギシウスユキソウ」

以前、ウスユキソウを集めていた時には高山性の面白い形をしたウスユキソウの仲間がどうしても欲しくて探したことがあり、ニュージーランドから種を送ってもらったことがあるが・・・あの時はどうかしていたな。


今は基本的に鹿沼土単用で、たまに軽石や活性炭とか燻炭とか程度は交ぜたりする程度でもう面倒なことはやらないのだが、まだ全然栽培について分かっていなかった頃はいろんなものを交ぜたりしていた。

そしたらば、やっぱり枯れるのだ。水はけとか考えたつもりだったが・・・全然ダメだったのだな。

まあ、そんなんで高山植物は飼わないことを決めていたのだが、何故かチシマウスユキソウだけは栽培していて(当然鹿沼土単用)、それも2~3年保った上に予想に反して増殖した。不気味なぐらい丈夫である。昨年、置き場所を移動したらすっかり水やりを忘れてしまい流石に今度は枯れたと思う。鉢はそのままにしてある。
チシマウスユキソウの遺影(栽培種・2014年5月撮影) 
全体 Leontopodium kurilense
草体 Leontopodium kurilense (hyb?)
雑種強勢とはいうがみんなの趣味の園芸ウスユキソウの項アルペンガーデンやまくさの園主さんの解説ではチシマウスユキソウが本物でない可能性があるとされていて、確か氏の著書かブログにももう少し詳細が書かれていた気がするのが山野草的には気になるのでちょっと調べてみた。
「チシマウスユキソウ」(自生?)
他の写真はロックガーデンらしきところに栽培されている感じがするものが多いので、今一だけどこの写真を参照させていただくが、山野草界の「チシマウスユキソウ」とそんなに変わらない気がしないでもない。正直よく分からん。 

日本の栽培種のDNAと自生のもの採取地データ @ロシア)と比較できないと意味がないですがこんなの見つけた。

Leontopodium kurilense internal transcribed spacer 1 and 5.8S ribosomal RNA gene, complete sequence; and internal transcribed spacer 2, partial sequence (参照:NCBI
「カムチャツカウスユキソウ」参照元
美しい写真を撮られているがキリル文字を翻訳する気にならないので割愛。
オオヒラウスユキソウとか別種のものには似ているような気もする。千島薄雪草以外の写真を撮った記憶がないので「オキナグサ」類と共に数年ぶりに再購入した。失敗ばかりしているけれど、気が向いた時には懲りずに挑戦をつづけるのだ。



メモ:関係ないかも知れないけど、アイデアの元になるかも知れんので「北海道,礼文島の風衝地におけるガンコウランの環境適応

2016年2月14日日曜日

愛鷹山の帰還


「アシタカカンアオイ?」

前回の探索ではカンアオイがほとんどいない状態であった。若干まとまった株を見つけたが、いかんせん少なすぎて参考にもならないので、場所を変えて探してみた。今度は愛鷹山の南西側、同じアシタカでも足高周辺を目標としてみる。カンアオイの命名は地名によるものが多いので。

探索開始まもなくあっさりと発見。枯れた沢伝いに点々と生えている。やや大きめな株も見かける。おそらく大雨の度に種などが下流に流されていくこともあるのではないかと推測できるし、歩き易いので動物も通るのではないか。どうも獣道沿いにカンアオイが分布している気がするのだが、気のせい?いずれにせよ他の植物が生い茂るような場所では生きて行けない背の低い草である。多少なりとも開けた空間を好むようだ。


割と下り藤っぽい柄が多く綺麗な葉模様である。


銀葉系に緑の谷

「細辛」や「選抜種」なんかとは比べ物にならないが、自然界(人工樹林ではあるものの)でこう言う綺麗な模様を見ると感動する。ウチではナメクジやイモムシの類に囓られたりしているのを見たことがあるが、比較的食害されている葉が少ない。虫や動物が少ないのだろうか?
かんきつ ナメクジ類(参照:こうち農業ネット
シカの摂食圧下での樹形・草姿(参照:福原達人氏)


花付きだ。


花弁(萼片)が中途半端な開きをしているので「ズソウ」かな?と思った。

「ズソウカンアオイ」も愛鷹山周辺に分布するそうなのだが、花期が10月~11月。対して「アシタカカンアオイ」は5月~7月。そして今は2月初頭である。

どっちだよ。

一般的に暖冬では開花が早まるとは言われるが… なお、基本種である「オトメアオイ」の花期は6月~8月。一番近いのは天城山系で見たオトメ系の4月。なお「アマギカンアオイ」は4~5月なのでこれは符合する。

またウチでは宮崎特産の「オナガカンアオイ」4~5月や、奄美諸島の「フジノカンアオイ」12~4月(たぶん自生地である奄美の南国特有の気候や遺伝的に多様であるせい?そう考えるとあちらも変種に細分類した方がいいのでは?あるいはこちらにその意味がないのか?)が咲き始めている。


花期で分類できるとするなら該当種ナシ。


そもそもカンアオイの自生地は一般的に山林の薄暗い地表近く。落葉に半ば埋もれていることもある。空を覆う木々のせいで雨も被らない。湿度はあっても湿潤ではない。夏でも比較的涼しく温度変化も人間が体感している平地のそれとはまったく違うと思う。杉林内は(さすがに真夏は暑いが)初夏ぐらいまでかなり涼しい。天城山系では低山域に富士山5合目付近のような地衣類が繁茂しているくらいだ。むしろ株の充実具合の方が重要ではないのか。


別の花。
全体的にぷっくりと丸く短い。「アシタカ」ではないかと思う。


「ズソウ」(参照:「細辛・寒葵」著:岸勝美・入澤清治氏)の参考写真の花と比べると口膜がなく、口が開いているので内部が丸見え。全体的に「ズソウ」の傾向とは異なる感じがする。

やはり「アシタカ」であっているように思う。


間違いなく開口部が広い。こちらは柱頭が5本に見える。畸形なのかそういう変種なのか。とか悩み始めるとキリがない。

たとえばある不明のカンアオイ(南洋産と思われるが詳細不明。オオフジノと同時に入手した為フジノ系かセンカク系の交雑種かと思っていた)を同定してやろうと思って分解したが結局分からなかったことがある。該当種がないのではなくて、目星をつけた数種の図解を並べていざ実物と見比べると区別が付かないのである。こっちにも見えるしそっちにも見えると言う。標準の個体を写実しただけなのだろうが、本物をいくつか所持しない限り想像力で補完する才能でもないとどうにも決断できそうにない。これだけで分かると言うなら石器片だけで地層年代を当てられるんじゃないかと思う。そこが専門家とシロウトの違いかもしれないけれども。脊髄の一部の化石だけで恐竜の種類が分かると言う人は確かにすごいが、学問の領域が違いなのか。

ま、よっぽど特徴的な差異でもない限り、変種程度の差では個体差の部分で曖昧になってしまうのではなかろうかと思う。


撮影した時には結構綺麗な模様だと思っていたが、そうでもないか・・・栽培種と比べてしまうと。いかん心が濁って来ているかも。

あといつも苦労するんですが、ピントが狙い通りに合わないんですよね。中央重点にしているのに奥の葉に焦点があってる・・・カメラのディスプレイだと現像する(PCに取り込む)まで分からんので困ってしまう。マニュアルでやると露出が合わなかったり色目が変わったりするので、結局オート。カメラの上手い人に教えて欲しい。


「木の虚の中にいた花」
こうしてみるとここの寒葵たちにとっては今が開花シーズンのようである。花粉も確認できたので、せいぜい1~3月の間くらいではなかろうか。往々にして自分に都合良く判断してしまいそうになるが、
不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる