2015年3月29日日曜日

別の謎のカンアオイ

亀甲柄の実生親がいるハズがない・・

と思っていたのだが、どうしても納得ゆかないので昨年の写真を確認したところ・・・亀甲柄の個体がおりました。斑入り山採りものとのことで、確か同定はされていなかったのだが、勝手にタイリンだと思い込んで植えこんでいたのだ。とりあえず斑入りは実生親として何種かキープしておこうと思っていた頃の事であった。一応多少揃ったのでもう焦って入手する必要もなく(実生したければ株分けして親を確保してからの方がいいですよと達人に諭していただいたので無理もしない)、そもそも亀甲がそれほど好きでもないので記憶から遠ざかっていた。

自分で蒐集した範囲での話であるが、基本的に「タイリン」はツヤ無しタイプの葉でややビロードっぽい感じであるようである。
当時「サツマ」や「キンチャク」と似たような雰囲気の葉だと勝手に思い込んでいたのだが、おそらくこの質感の違いは花以外で推測する場合役に立ちそうである。ただし、「フジノ」として購入した個体にツヤ無しが混じっていて混乱したりするので、すべての個体がそうであるとも限らないが。

そんな訳で、宮崎産のタイリンと言うこの株にもなんとなく違和感を感じていたのだが・・・

「マエダカンアオイ」(オナガタイリン)のようである・・
*マエダカンアオイ=オナガカンアオイxミヤザキタイリンの自然交雑種

「マエダ」の銘品「蝙蝠」を所有していた事があるのだが、それとは違う花の模様。なおそれは数年前に枯らしてしまって再購入する気もないのでそのままである。宮崎タイリンは所持していないのでその一般的な葉が定かでないのだが写真から判断する限り普通のタイリンのようだし、かと言ってこの葉模様はそれほどオナガっぽくもない気が(サカワっぽい?)する。むしろ、一番タイリンっぽくないと言う気がする。いずれにせよプロなら間違えようがないと思うんですけどね。なんでこうなったの・・・・

仕方ないので、交雑しないように単体の鉢に移しましたよ・・・はぁ。
1人では可哀想なので、もう一株は自然交配の本物のマエダがいるといいんですけどね・・・


こうなってくると亀甲や、他の実生苗がセルフなのかどうなのかが気になる。雑種は作らないようにしようと思っていたのに、出来てしまっていたかも知れん。もともと自然交配を狙って大鉢に寄せ植えしてあるのだから出来たらラッキーなのだが、ちゃんと品種の確認が出来てないと意味ないな・・・。


2015年3月23日月曜日

スルガテンナンショウ

日本平産
マムシグサだろうと思ってたのですが付属体の形状からしておそらくスルガテンナンショウなんでしょう。色が違うんですけどね。で、結局これ何?
興津川流域産
普通に見かけるし舗装もされていないような山道を歩いてもおそらくこれしかいない。ウラシマソウには出会ったことがない。道路脇などによく見られるせいか、草刈り時に巻き添えになってしまうようで後でいなくなっていたこともある。なおヤマユリなどは時々抜いていく人を見かけるが天南星は手付かず。
付属体が曲がっているので「スルガテンナンショウ」で良いんでしょう。
まだ花も大きくないが、昨年はもっとクイッと曲がってた(天井に頭をぶつけて曲がってしまうだけの気もしないでもない)ような・・・。一般的なマムシグサのは蒲の穂的形状をしているようなので、それではない気がする。ともあれ、植物でも魚でも例外を引いてしまうことがあるので、同定には最近特に自信がない…
結構思い込みもあったり、誤解や誤認もあろうかと思うので、随時修正と訂正をしておくようにします。

おまけ
やっと出た出た斑入りハナイカダの実生苗
どうやらハズレ。一株だけか・・

2015年3月21日土曜日

カンアオイの実生苗

「オナガカンアオイ」
小さいが「蝶」模様が確認できる。
親株の根本ではないので、おそらくアリが運びかけたもの。
オナガには蝶が比較的多い気がする。そして亀甲は見たことがない・・あるのかな?
昨年アリに巣食われていた株の根本からもやはり出てきた。
たった2粒とも思えないので、別の場所に引っ越しさせられてしまったかも。
薄々気づいていたのだが、葉模様(銀糊部)は年によって変わってしまう個体がいる・・・
銀葉っぽかったのに谷が出来ていたり株は充実しても自分的には作落ち・・・やめて
なんと「タイリンカンアオイ」にも初実生苗が。

しかも亀甲柄。セルフ実生だと思うのに・・・
亀甲模様はウィルス斑っぽくて好きでないので、優先的に所持していない(細辛の「葵錦」が最高の亀甲系模様だと思っていたせいもある。
*実生選抜品なので偽物も多いそうだ)のだがなぜだ。
一番奥にアラレ模様と思しき双葉もある。霰と亀甲は意外と近い遺伝子なのか?
周囲のちょっと違う様子の双葉はスミレかも知れん。

アラレ模様はサイケなペイズリーとか曼荼羅な情報過多なバロックな感じが好きなのだ。モノドラカンアオイの「美写紋」は洋種の観葉植物にも勝るとも劣らないめちゃくちゃ綺麗な選抜品だと思う。持っていたが枯らしてしまったので写真がない。確か命名者不明らしいが、こんなのを発見。この状況ではどう見てもモノドラの方が先だが®とは・・・
奥にはアラレっぽい予感のするカイワレ芽も。

花物の寒葵と言えば断然オナガだろうが、
個人的にはタイリンの花もおまんじゅうとか金魚で言うピンポンパール的可愛さがあって、しかもデカいから好き。

もっとも色花とかでも微妙に地味なので、あくまでそのカタチがいいね。
ちなみに「万寿」と言う銘品もあるようだが、持ってない。「陽関」って言う羊羹みたいな色花の銘品もあって、ネーミングが絶妙で欲しい。売ってるの見たことないけど・・・

細辛の基本は葉模様だけれども、タイリンは真ん丸な花とかを集めたいなあ。

分布範囲が九州から中国地方までと広いので遺伝的にも多様なのか、葉模様もオナガよりも多彩で、丈夫でオナガ程は高価でないのもいい。それにしても、九州はいいなあ。いろんな花物カンアオイがいて羨ましいなあ。
静岡はアマギくらいかなあ。誇れるのは。
昨年、ジベレリン処理しなかったオナガの実生苗だけ葉が残っている。
昨年度は梅雨のころからみんな葉が落ちてしまって、腐らせたのかと絶望的だったのだが、たまたま裏年だっただけなのかなんなのか。

トウカイ改メ 石化エゾタンポポ

この度ようやく当家の石化タンポポが開花するはこびとなりました。
めでたい。・・・・・・・のであるが、 「トウカイタンポポ」でないことも発覚した・・・・・・
肥培しているせいで大輪気味ではあるが、まあ普通のタンポポなのだが。
充分に陽が出ているうちでないと開花が見られないので、人工授粉が困難。
どう見てもトウカイではありません。どうもありがとうございました。
まあ、念のためにクローンかどうかチェックする。(→わずか数日で確認終了。予想通りクローン系。トウカイに花粉をつけない為に全花封印した
あと、こっちの葉は石化していないので、別個体であることも薄く期待・・・(→脇芽でなくエゾが勝手に飛ばした種から出た別株ではないかと言う気が猛してきた・・
斑入りになったり、羅紗になったり、クローン内でも表現形質に幅があることが分かる。
クローナル・エイジングと言うヤツかな。

「斑入りエゾ(仮)親株」
どう見ても、同じ花だな。
今まで斑入りにならなかった実生苗はちゃんとした記録にも残さず廃棄していたが、
いくらタンポポとは言え、ちゃんと選別しないと斑入りばかり残る訳ではないんですよ。
「斑入りエゾ(仮)実生」
蕾にも斑。
「当地産カラス葉トウカイ」
これが本物。明らかに別種。
こんだけボコボコしている。
*カントウである可能性も無きにしもあらず。
別の株

また別の株
「仏手柑」的な形状をしている。

2015年3月14日土曜日

カンアオイ探索

先日の謎の花のカンアオイが気になってしかたなかったので、また山散策に出かけてきた。
どうも花粉症デビューをしてしまったみたいなので、心配ではあったものの杞憂であった。なお檜と杉の混合林のようであった。

そして、写真にこそ撮れていないが、また山の神に出会ってしまった。鼻炎気味の鼻を鳴らすような警戒音に視線を上げるとこっちを見ていた・・・。カメラに手を伸ばした途端に逃げられてしまったが、大量のフンやおそらく泥浴びしていた痕跡を確認した。なんたる天啓(遭遇率6割)と感じ入ったが、つまり完全に獣道をたどってしまっていたらしいので、殺人マダニに刺されていないか心配である。それに、道路脇に猿も見かけた。食べられそうなものなどないようだったが何かをつまんでいた。

さて、今回林道脇だけでなく多少周辺の森も探してみたのでだが、カンアオイは基本的に日当たりの悪くない尾根沿いなどに生えている傾向があり、あまり暗かったり落葉樹の陰などにはいない。ひょっとすると落葉の下で休眠しているのかも知れないが、常緑であるので光合成が出来た方が良いのであろうと思う。ある程度群生している傾向があり、ある地点から見かけなくなる。

完全な自然林を見ることはもうないであろうので、本来の森の姿は想像しにくいのだが、背の高い植物に囲まれてしまうと生育に支障をきたすカンアオイにとっては人為的な撹乱があっても、種の供給源さえあればむしろ下草や落葉の手入れがされた杉林との境界付近(雑草がなく地表が見えているような所)の方が居心地が良いのではないかと思った。もっとも、完全に杉林が出来上がり、シダ類など一部の植物が専有種となってしまった場合、ほんの数種の植物しか見かけなくなる。

またたまたまそうなのかも知れないのだが、ここに限らず別の山でも、ある山筋にはいるのに、隣の山系にはいないと言うことがある。そして今回うっそうとした暗い急斜面(滑落しそうになった・・・)、ふかふかの分厚い腐葉土の奥深くまで根を伸ばしている個体もあるにはあり、こちらが本来の姿なのかも知れぬ。ただし、日当たりの良い峰で繁殖している個体から落ちてきた実生子株のようではある。

この場合白絹病のような姿の枯草菌類(?)が根本に広がっていたりしたがまったく問題ない様子であった。白絹病や軟腐病のようなものが栽培時には致命的になり、高価な株を枯らしてしまったこともあるので嫌な気分になってしまった。

よくある言い訳としては、自然界では微生物の均衡が取れていて云々なのだが、辺り一面ヒノキの臭いがプンプンするし、掘り返してみれば土中からはカンアオイ特有の消毒薬のような臭い(株が弱ると臭いも消える気が?)が立ち昇る。おそらく、この環境下では選択された一部の菌類しか生息しにくくなるように、植物自体が調整しているように思える。結局のところ自分の性質に適合したところからしか生えないと言うことのような気がする。

道路脇の斜面に生えていたもの。おそらくスズカカンアオイ。
今回別の林道脇に生えていたもの。
うっかりSDカードが壊れてしまい枚数が撮れてないのだが、だいたいこの形の花。
まあスズカであろう。
林道整備の為に削られた道路脇。時々崩れかけている箇所もあり、雨水が流れた後がえぐれていたりする。
法面の補強などないので、いずれ落下すると思う。
今回観察したカンアオイの中では綺麗な葉模様であるが、基本的にはほぼ地味な霰模様、まれに下り藤。
と言った感じである。青軸もなく、素心花もなく、細辛には程遠い。
今にも落っこちそうなのだが、わりとこういう株を見かける。
土中の根の様子。
自然状態のカンアオイの根の張りを見られるのはかなり稀少な例ではなかろうか?
結構長く、本体が土砂に埋もれたせいか、地表付近まで逆さに伸びた根もある。
掘り出そうとしたら隠れていた花を折ってしまった。
遮光状態だったので赤色をしているが、本来の色目ではないと思う。
まあでも綺麗な赤花ではある。
カッターなどなかったので指で割った。
 

謎のカンアオイと同坪の個体。
花がついているものがあまりなく納得できる程確認した訳ではないが、ほとんどスズカかカントウであるような気がする。
スズカであろう。
これも遮光状態であったので色が薄い。

弁先が伸びてくれば、いずれ「ホシザキ」か「オナガ」(参照:野の花賛花)かと言う感じではあるが、
一部の種*では,形態的な類縁性と今回得られた系統樹が一致しなかった.それぞれのクレードは,むしろ地理的なまとまりとよく対応した.一方で,これらの地理的なまとまりは,核リボソームITSによる予備的な解析結果や染色体の核型を用いた類縁性とは対応しなかった.」(参照:日本産カンアオイ節植物の分子系統と送粉様式)*「サカワ~ホシザキ」と「オナガ」の事だと思われる。
調べ方にも依るが形態的進化の割には遺伝的な変化が少ないなどと言うこと(参照:分子系統解析によるカンアオイ属カンアオイ節植物の分類地理学的考察)も書かれている


お ま け 
フユノハナワラビ
胞子葉は終了。
山野草の世界では「斑入り」とか「石化」とかのカンワラビを見かけるが、ウチではほぼ芸が続いたことがない。
個体差とか言うよりも、環境や栽培法に依るものと思われる。
金魚の肉瘤もそうだが、再現性がないものはキライだ。
と思ってはいるが、また石化苗を買ってしまった。芸が継続するものもあるそうだがその確認をしたい。
「ツルリンドウ」(だと思う)
今が萌芽の季節なのかどこでも結構みかけた。
実生したことがあるが、いつのまにやら消えた。斑入り個体も生きているのと消えたのがいる。
同一条件なのに謎である。

クリハランか何か。
タチツボスミレ

2015年3月7日土曜日

もうじき春の変わり葉タンポポたち

「石化タンポポ」
の脇芽の方。若干羅紗葉になりかけてきた気もするが・・
石化が進みすぎた本体は葉陰でなんにも見えん。
蕾が確認できるが、花茎が上がってくる気配がないのが不気味。
物理的に実生不能パターンなのかよ。勘弁してくれ。
「カラス葉トウカイ」
再び寒くなってきたせいか、やや色づいた。
他の個体と比較するといちばん紫っぽい。全然物足りないけど・・
ちらほら花が咲き始めているが、相棒が咲かないので勿体無い。
「斑入りエゾタンポポの実生特選株」
実に良い斑である。
どうせクローンなので一つで充分デスヨ。
斑入り親の方。これで3年目かな。
捨てようと思ってたが、斑が戻ってきたぞよ。
なかなか優秀な種親である。 

謎のカンアオイ

当地産の寒葵。
「スズカカンアオイ」?
スズカな気がする。
カントウとの区別は良く分からん。
が、スズカだと思っている。
「カギガタカンアオイ」なのかも知れんがスズカだと思っている。
ん?
なんだか「サツマ」や「オニ」とか「宮崎タイリン」とか「雲仙」みたいなフリル花なんですが・・・
小さいけど。
なんなんですかコレ?
常々参考にさせていただいている「寒葵分類一覧表」HPでも該当種(静岡県)がないような。
やけに開口部が広いのだが、ただ変化花なのか。
→いろいろ考えてみたのだが、膜輪欠如型の「カギガタ」かも知れんね。「カギガタカンアオイ」は一株だけ庭植えしてあるのだが、花未確認の為比較できず。「ランヨウアオイ」は中~大型の「コシノカンアオイ」タイプの花であるし、葉質も全然違う。しいて言うならちょっとアマギっぽいがあっちは毛深いような印象がある。



→→まだ悩んでいるが「イワタカンアオイ」の変化花のような気がする。もしそうだとすると静岡市にも分布があるのだな。

解体してみる勇気がないので、取り敢えずアップ。
カギガタ?

横見

葉っぱ。別になんてことはない地味な模様だが・・
同坪からの採取なので全部同じものかと思ってたのだが、微妙に葉質が違う。
他の個体はやや革質で細辛のカントウっぽい雰囲気があるが、これは比較的滑らか。