ところでポップスにおける変拍子と言えば、「テイク・ファイヴ」が起源なのだろうと漠然と思っている。まあ、探せばもっといろいろあるかも知れないけど、これだけ有名な曲もあんまりなさそうだ。
[Pertuate the Funk / Steave Coleman ]
6拍子
この人忘れてたっけ。
「オーネット」や「ノー・ニューヨーク」のせいか、NYの音楽ってこんな感じのイメージがある。
パンクとファンクと叙情的でないプログレってなんか繋がってるのかね。「ゴールデン・パロミノス」とか似たような感じのサウンド・テクスチャー(横文字は使いたくないが、的確な表現語彙がない。音触?)だなといつも思う。
この曲じゃなくて Just a Funky Old song が変拍子ファンクでかっけーです。
カサンドラ・ウィルソンもこれあってのものだと思うが。
[Run the Voodoo Run Reprise.]
6拍子
やっぱりアメリカ黒人ってアフリカの純系の音楽的ルーツを持ってないのかなと感じてしまう。
[The Fan / Little Feat]
7拍子。
変拍子のブルーズって言うとこれしか思い浮かばない。
微妙に違う気もするが「サザン・ロック」「ブルーズ・ロック」のジャンルに入ってはいても「プログ」ではないので許せ。
プログレにおける変拍子の導入は、現代音楽や民族音楽よりかはこの手のジャズ経由ではなかろうか。
ユダヤ系のミュージシャンは東欧からの移民が多いからなのかどうかは知らないが、こういう小難しい頭で考えたようなスタニスワフ・レム的なペダンティックな曲が多い気がする。その極北が「
ドン・エリス」の超多数拍子・・・・・・実際には長めのリフで構成されているだけで、身構える程小難しいものではくむしろポップで結構グルーヴィだったりもする。
一応バルカン半島の民族音楽をモデルにしたような感じであるし、インドでのライヴ盤も出てたりするので、いろいろ研究されていたようである。90年台の終わりから00年台くらいまで、「
ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン」やら、ルーマニア等の「ジプシーバンド」のアラビックなミクスチャ系ワールド・ミュージックが流行していたが、その元祖な感じ。
[33 222 1 222]
この辺り経由で「アレア」がブルガリア民謡を参照したのではないかと思うのだがいかがか?
ついでにヨーデル発声で歌ってる変なジャズのアルバム(エリントンだっけかな・・・有名人だったと思うが失念)もある。
更に言うと「ポップ・グループ」のバンド名は「アレア」から採られたんじゃないのかとも思ったり。
[Roundabout]
なぜか「YES」のカバーもしてる。しかも本家よりも若干変拍子増量中。
「スターウォーズ」のテーマとかもやってたりするし、クラブ向けにもイケそうなカッコイイ曲も結構ある。
これ持ってたか覚えてないなあ。当初枚数限定でかなり入手困難であった「フレンチ・コネクション」のサントラも含め一応ほぼコンプしてる筈なんだが。
元「ティポグラフィカ」の
菊池成孔氏は、曲の複雑さを指摘される度に「三拍子と四拍子」で構成されていると反論していたが、確かにおっしゃる通り。ここんところの問題はむしろ脱臼したような「テンポ」の変化にあると思う。
[Floating Opera / Tipografica]
(*レーベルから直接購入のコト)
菊池氏のサックスが好きなんだが「デートコースペンタゴンロイヤルガーデン」じゃ吹かなくなっちゃって、「FAME」のカバー(メタリックでファンキーでめちゃくちゃカッコイイ。本家よりも良いかも)でのへなちょこリードシンセで決定的に嫌になっちゃった・・・邦人で唯一音聴いただけで誰か分かる奏者だったのに・・・
それでも最初の「ティポ」は「ヘンリー・カウ」的だったが、だんだん逸脱(?)して行って、最後は
今堀恒雄氏がメクラ打ちしたMIDIデータを強引に曲にすると言う演奏者泣かせの方法で大変だったとも思うのだけど、結局ヘンテコなのにキャッチーなファースト・アルバムを聴いてしまったりする。
「ウンベル・ティポ」以降インディーズ盤も含めてどれがどれだか分からなくなってきてしまっている・・・
プログレの最終形態だとは思うのだが。新しい音楽とも感ぜず。
だいたい、ドラムンベースも「アルティエメスティエリ」としか思わなかったしなあ・・・感性が鈍いのかも。
この点「ディシプリン」時代のいわゆる後期「キング・クリムゾン」も奇数と偶数拍子の切り替えで、ポリリズム的なポップスを作曲していたが、80年台に適応したプログレの好例だと思う。意外と真似できそうな割には、類似品が少ないのはフリップのギター・プレイみたいだ。でも、これがオリジナルだと言うよりは一発ネタのようにたった3枚で収束してしまう。
16ビートでないファンク(メタル・クリムゾンには一応ある)の「エレファント・トーク」が人気曲で、自分の大好きなギタリスト、「エイドリアン・ブリュー」の象の鳴き声が存分に披露されている
(MIDI化してからか動物園をやらなくなってしまって至極残念無念。ザッパの現代音楽みたいなMIDIピアノの即興アルバムとか、音的には結構似てるんだけど何かが決定的に足らん気もする。本当はMIDIだろうが、エラーは起こせるので使い込めば変な音も出せるんだが・・・)ので外したくはないけど、やはり3枚目の曲が一番洗練されてきていると思う。
[Sleepless / King Crimson]
特に「スリープレス」の疾走感が突如「ムーン・ウォーク」し始めたようにウネウネと切り替わる感覚は、字余り的に拍子がひっくり返る「端唄」のようで、ある意味「アフリカ的」と言うよりかは「日本的」な気がする。
[梅は咲いたか]
歌詞が良い。
うん。でもこれじゃあなくて「夜桜」のソロの演奏盤がいいんだけど。
「新内」や「長唄・端唄」が複雑なのも、ちゃんとしたお座敷とかで磨き上げられた芸能としてのポップスであるからかも知れないなあ。
そして鼓の入り方なんかある意味アフリカ人も真っ青な変則リズム。ちゃんと意味があってのタイミングなんだろうけども、合ってるんだか合ってないんだかも良く分からぬ止まりそうで止まらぬ間の美学と言うか、いわゆるグルーヴとかノリとか言われるものとは異質。今堀氏はこう言うのも参照していた(る?)のかなあ・・・
あんまり他の民族音楽とかでの類似パターンもない気がする。
猿真似ポップにうつつを抜かすより、これはもっと世界に誇っていいのではないかと常々思っているが、そう言うとバカにされたね。
結局、「変拍子」はこの辺りの時間の流れが停滞してしまったかのような「脳のとまどい」を狙っているんじゃなかろうか。
「サイケデリック・ロック」って本来音楽でドラッグの疑似体験を味あわせようって意図があったんだよ。とかって穏当な事をロジャー・ウォーターズが言ってた気がするが、トランス程長い時間をかけないでローラーコースター的に一瞬で時間の変質を体感させると言う意味で同様な健全な音楽の利用法だと思う。
[Temper Temper / Goldie]
7拍子。
「ゴールディー」はやはり英国の黒人と言った感じで、基本的には真面目なんだろうなと思う。しかし、半分白人でも黒人扱いになるとかアメリカはよく分からんな。「トリッキー」(確かクォーター)もアメリカでは黒人の友人しかいないとか。「ボウイ」もアメリカの人種差別は英国より酷いとか語ってたし。
あるラッパーが3拍子でのラップは難しいので積極的にはやらないと言うような趣旨を語っていたのだが、「サンプリング」もある意味「ポリリズム」だ。思いもよらぬフレーズをアナログ盤から切り出して強引にしかし絶妙な耳のセンスで重ねるのは、ポップスが微かに内包するエキゾでプリミティヴな感覚を呼び覚ます。とかなんとなく評論家的に書いてみたりして・・・
[Arti e Mestieri]
これは6拍子。
51秒のところで、メロトロン(?)が一度音切れしてるのが気になって仕方ないんだが、テープが切れてるの?
人力「ドラムンベース」と言うよりは、「ドリルンベース」の方かな。でも全然デジタル・ビートの2倍速とはニュアンスが違う。
にしても「フリオ・キリコ」を生で見たかった・・・トリノに行けばまだ見られるのか?
[シャングリラ / チャットモンチー]
一拍欠け。
普通の3ピース・ガールバンド構成で音もシンプルなのに、独特な言語感覚と作曲能力でなんだか新しい地平にいると思った。
元ネタよりも良い曲を作れるのはレノン的な優れたポップセンスだと思う。
[Mouth for War / Pantera]
拍子抜けと言うとコレも思い出す。
叙情性のないメタルはカッコイイな。
[Les têtes brulées]
真の「ポリリズム」ってのはコイツの事だ。
ただの「変拍子 」との格の違いは一聴了然。
日本盤も昔出ていた。
このつまづきながらどこまでもコロコロと転がってゆくようなギターでカリンバとかを再現しようとするのが偉い。
「オマール・ソーサ」もピアノを打楽器と思っているとか言ってるし。
なんか根本的なところで、100m走での人種の壁的な相違を感じる(その代わり沈んでしまうので水泳には向いていないと言うが)。
北アフリカのハチロク拍子の固さは、8ビートと16ビートかそれ以上の違いにあるのではなかろうか。
バス・ドラムの打ち方はサンバとかにも受け継がれている気もしないでもないが前ノリ だよなあ。
うへ。リズムが掴めん・・・気分悪くなりそう。
この人知らなかなった。探そう・・(う~MP3しかないのかよ・・・)
タイトーのレインボーアイランドとかこんな感じの曲だったような。
カリプソはルーツ的に近いのかなぁ。
[ スパロウ死す / Mighty Sparrow]
オリジナル・バージョンの方かな。
ヴァン・ダイク・パークス編の再録版をしばらく聴いてないのでどっちか分からなくなっちゃった・・・。
まあ、もはや変拍子ではないので、リズムやグルーヴのニュアンス的なものなのだが。
これで2/4拍子って言われてもなあ・・・ヴォーカルやオブリガートのノリ方がポリリズムなんですが。
カリプソってーとこの人と古い時代のコンピ盤の歌手(第二次大戦期のイタリアのエチオピアの植民地化についての風刺歌とか。一方のイタリア人にとっては嬉しかったらしくて、アジスアベバなんて名付けられたおばあちゃんもいるとか)くらいしか存じませんが、
中国風(*日本)であったり、モンド・アフリカ風であったり、自分の死亡ソングをこんなに楽しそうに歌われちゃうと、もはや芸達者な人だな感心するのみ。バックバンドの質も極めて高し。
[Big Chief / Professor Longhair]
コロコロしている部分ではニューオリンズのピアノもカメルーンっぽいけども、ヒップホップのサンプリングみたいな構造。
そもそも黒人奴隷ってどの辺りから連れて来られちゃったのだろうかって調べてば分かるな。
ファンクなんかよく裏ビートから入って、メロディーが乗ってくると元に戻る(なんていうの?)事があるけど
逆に言えば、2拍子なり、4拍子なりに平易翻訳したポリリズムがジャズの起源なのかね。
あるいは、労働歌は反復には向くけども、奇数拍子に向いてなかったからとかなんとか。
あるいは単純に著作権とか記譜の都合上とか・・・
あるいは、ジミヘンにジェームズ・ブラウンも加えた黄色人種の血のなせる業だったりして・・・