2013年12月15日日曜日

シシヒトツバ

ヒトツバの獅子葉芸品と言うと平獅子の銘品「土佐大王」が有名。
高知県はヒトツバの変異種が多いのか、次の記事を発見。


「シシヒトツバ 山中二男(やまなか つぎお)氏」 抜粋

シシヒトツバは牧野博士により最初に記載されたもので、”日本植物総覧”第一版1925 1597頁にCyclophorus lingua form.Cristata Makino の学名を与え簡単に”葉面先端不斉に分裂す”と記載されている。その後伊藤洋博士が本田正次博士”日本植物名彙”1939 22頁にて現在の学名に組かえられた。
「Collection and Breading 1951 13. 採集と飼育 挿絵より」
山中氏採取による高知県の獅子葉標本図。

以下、面倒なので略。

古典園芸の知識が皆無であった頃、土佐大王を譲ってくれた方に「石化が~」と尋ねたらば「石化ではありません」と言われてしまったのだが、90年も前からちゃんと学名自体が「クリスタータ=石化」型ってなってますね。

ちなみに根が台湾シノブの「猫の手」みたいに綴化する(と言うが本芸品を見たことがほとんどない)タイプもある。

「石化シノブ」
トキワシノブ等の別称アリ。

「石化根」と言うタイプがそれだが、葉の方はいわゆる獅子葉~普通葉。ひょっとすると何系統かあるかも知れないが、無銘品のヒトツバがたくさんあるので確証はない。

「ヒトツバ石化根」(先日ヤフオクに出品されていたものより拝借)
ちなみにウチの株はこんなにすごくない・・・。
高植えしてあるように見えるが、おそらく普通に栽培すると
根(気根?)が鉢外に飛び出してしまうせいだと思われる。

2013年12月8日日曜日

「ヒブナとテツギョ、金魚との関係」 (松井佳一氏 遺稿)

「淡水魚 第二号」 財団法人淡水魚保護協会機関紙 より後半部を抜粋。

:大正11年(1918年)東京市上野公園で開催せられた平和祈念東京博覧会で山形県北村山郡玉野村大字母袋の清藤芳松がテツギョを出品。体型は金魚に似てフナ尾で長く体色が黒く鉄色を帯びている。同村母袋若畑沼の特産で、明治初年同沼付近は森林繁茂し人跡稀であったが、明治20年頃森林伐採と共に沼中に異様の魚族を発見し、はじめ黒鉄色の尾ならびに鰭長大しものを漁獲した。色は、黒、赤、白、黄の斑等種々ありとあったので、金魚の原種ではないかとの報道もあって大いに評判となった。

:昭和2年頃宮城県加美郡宮崎村田代岳の山中魚取沼にテツギョがいるとのことで、当時東北大学朴沢三二教授がこれにつき調査して、昭和6年6月宮城教育でその結果を発表せられた。


:昭和2年(1927年)早春、若畑沼の実地を視察調査したが、ここは部落有で、金魚、鮒などを飼育していて、珍しい魚が見つかると山中のこの沼へ放つ風習があるとの伝承があった。


:宮城県のテツギョは天然記念物に指定されて有名となったので、大正14年10月当時摂政宮殿下の生物学御研究所に魚取沼産鉄魚28尾が献上せられ、また昭和3年に御即位の後御研究所が宮城内に遷御になって、昭和3年10月に13尾が献上せられたものについて御飼育になったものから、昭和4年6月多数の幼魚を得られたが、混養で親魚は不明であったが、仔魚314尾のうち140尾は長尾、173尾は短尾であったが、このうち1尾は開き尾であったこと、その他長尾短尾の出現率などにつき、御用係服部廣太郎博士が「採集と飼育第9巻第10号・昭和22年1月」に御発表になっている。

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この遺稿は松井佳一(まついよしいち)氏の金魚関連の著書中最新(1976年)のもので、氏もずっと気にされていたのだろうと感じる。

宮城県のHPによれば鉄魚はキンブナの変異体なのだが、献上魚でさえ交雑魚であったとするのであれば、流通している鉄魚はみんなその系統である可能性がある。むしろそうでないとしたら、一体それはどこの魚なのだ?と言う話になるまいか。

「鉄魚」を分譲してもらう際に必ずその由来を尋ねるようにしているのだけれども、「奥羽山系」のブリーダー氏による長尾鮒以外、つまり「魚取沼純系」と言われているもの(長尾と色付きの2芸品)で、ここまではっきりとした来歴は寡聞にして知らない。

北海道の鉄魚・緋鮒も含めて、赤化・白化・黒化等の変異は無論起こりうるし、起こってきただろうが(関東産キンブナの透明鱗は見たことがある。キンブナ透明鱗としてブリードされているものは、東北各地のキンブナ系のものを集めて創られた系統らしい。行基ブナについては不明。)、金魚の放流が明治~大正期(あるいはそれ以前から?)に行われてしまったため、100年も経ってしまった今ではその起源が分からなくなってしまっている。

もし本当に魚取沼の鉄魚が純粋なキンブナの変異体であり、「開き尾まで出現する超変異体系統なのだよ」となれば素晴らしいが、金魚との交雑がまったくない遺伝子検査済み合格の系統を確立して貰わない限りこれ以上手を出す気にならなくなってしまった・・・。

*東北のキンブナ・ナガブナ系の不明種はクローン系統の可能性があるが、自分では関東型と認識してきた背鰭の軟条数が少ない普通の「キンブナ」(参照:魚類写真データベース)も普通にいるようだ。

2013年12月1日日曜日

東海(仮)蒲公英 羅紗葉

蒲公英(在来種)は冬~春にかけての植物なのだなあ。
落葉樹が元気を失って行く中、脇芽が出てきた。
根伏せした方(うろ覚え)からも芽が出てきた。
一本だけではまた枯らすと思ってたんだろうな。
我が栽培・繁殖計画は常に綱渡りだ・・・・・
横芽が出てきた。もしかして主芽の方が芯止まりしてる・・・?
中心のモコモコした綿部分になんか見覚えがあると思ったら石化ツワブキっぽい。
針葉とかが出てきたりして・・・

同時期に小鉢に根伏せしたのにちっとも出てこなかったので掘り返してみた。
切り口が腐っていたので、患部を切除さらに2センチ幅に切り分けた。

今年はやけに軟腐病で溶かしてしまうことが多いので、今回はこのまま観察してみる。
室内管理にするけれど、寒い方がいいのかな。

蒲公英の根伏せの動画を見た事があったのだけど見つからない・・・
再生についての詳細。↓丁寧な解説が参考になります。

↑ 一週間後には腐った。
水を多めに浸しておいたらなんか焼きトウモロコシのような香ばしい?
変な臭いがしてきたので乾燥気味にしたのだが、うっかり干からびさせてしまったのが命取りだった模様。

銀葉椿 開花

「銀葉椿」
12月~開花か。
椿類の区別についてはこちらが詳しい。(参考:草木図譜
椿の自家不和合性についてはこちらが詳しい。(参考:Kobe 近況 & 清風
「銀葉椿」

「弁天」「梵天」「金魚」「筒」「細葉」など葉芸がある中で、
観葉植物としての椿の中では一番良い変異だと思う。
「糊斑」なので葉焼けもしない。

左に見えている丸葉は「七变化」(こちらも江戸時代からある変異。
現代のものと同個体かどうかは知らない)型の変わり葉椿のもの。

鋸歯付き(古典園芸用語で「がかり」と言うそうな)銀葉。
紺散も出る葉がある。
甑島産の斑入り椿。
「越の吹雪」と同タイプの散斑と覆輪入りだが、花は未確認とのこと。
基本的に覆輪等の遺伝しない斑入り植物は避けるようにしているのだ
が、散斑なのが気になったので。
「越の吹雪」
確かに似てはいる。葉が小さめなところも。
葉色の違いは作の違いのせい(同個体ならば)かも。
「錦の峰」
かなり芸の良い方の個体だと思う。

「錦の峰」(小)
同品種とは思えないくらい地味な柄。
なんで2鉢もあるかって?ボケてたんだよ!
すでに所有の有無が把握できてない・・・いかん。
「ボタ斑」
ウィルス性の斑。ぼやっとしていて気持よくない。
同。裏側から見たところ。
本斑との違いはウラから見るとなんたらってどこかで読んだ気がしたので撮影してみた。
本斑も同様に透けてたので意味はない。