2015年12月27日日曜日

テイショウソウの発芽

「テイショウソウの実生」
山野草は採り蒔きが基本と言われるが、先日お山から分けてもらってきた種を蒔いたものが、もう出てきた。2~3週間程度とは少々早すぎる気もするが
連日の陽気のせいかも。
今のところ直射日光下と軒下(比較の為)で乾かないように腰水気味にしてある。日光の強弱は関係なくどちらも発芽。綿毛があり風に吹かれて飛んで行ってしまいそうなので軽く覆土しておいて良いようだ。また、屋外も屋内もほぼ同時期に発芽しているので(室内の方は「キッコウハグマ」?だが)気温もあまり関係ない模様。

アジサイ類は灌水の度にあの塵芥のような細かな種子が用土の隙間に沈降してゆくのだが、好光性種子であるのかないのか調べてみても分からずこれも合わせて自ら研鑽を積むしかない。ちなみに用土にサラサラ蒔いておいて発芽していたので
嫌光性種子ではなさそうだ。

テイショウソウは根を痛めるとしおれてしまってなかなか回復しないので腰水が有効。挿し芽も出来る。ただし根腐れもしやすいのか暑い時期に消えてしまうことがあるので要観察。ちょうどカンアオイが春の後半から梅雨以降にかけて白絹病発生により消失してゆくのに似ている。予防の為に「バリダシン」を使用したことがあるのだが効果がなかったのか薬害なのかだいぶ殖えていたものが急にしおれはじめて溶けてしまったことがある。ひょっとするとキク科には禁忌(*きく「秀芳の力等」に薬害あり。だそうです)かも知れない。

なお、葉が残っていなかったものもあるので間違って「キッコウハグマ」か何かであるかも知れぬ。


「おまけ」
「フェイジョアの実生」
こちらの方が興味がある人がいそうだけれども。ウチで一番巨大になった実(キウィフルーツ程)から採取してみたが遺伝性があるのかどうかはわからん。南米のとある部族が大きな実を実生選抜していったと言う果物(なんだか忘れた)に倣ったのだが・・。そもそもキウィもサルナシからの選抜種らしいしいろいろと「果樹化」あるいは「改作」出来そうなものはあるんじゃないかと企んでいる。うふふ。
採り蒔きして2~3週間程で発芽開始。ミツバにそっくり。これが梅より大きくなる果樹とは思えぬ小ささである。

2015年12月23日水曜日

開花開始椿

「聴信寺金魚

写真では分かりづらいが暗紅色。
銘品「聴信寺」(濃赤色の一重、秋に咲くものは中折れ。筒~ラッパ咲き、小輪。富山県福光町の寺院に古木がある。「参照:日本ツバキ・サザンカ名鑑」)の葉変り品。

全葉に芸が出てはいないので固定率は甘いと言わざるを得ない。金魚葉との二芸品なので葉芸はおまけのようなものですが。
「銀葉椿(ぎんよう)」

素直な明るめの桃色。葉も派手なので賑やかな感じである。小さめの葉で鋸歯も目立つが、花糸が白いのでこちらも「ヤブツバキ」系*であるのがわかる。小輪だが花付きはかなり良い。

同様の銀葉鋸葉芸が「ヒサカキ」にもあるので、別の樹木にも出現する可能性のある遺伝であるかも。日淡で言う「銀鱗」みたいなものか。「銀葉ヒサカキ」の芸は時々戻るが、これはほぼ全部固定。

なお相互に人工授粉してみた。春先に受粉させると雨に降られてダメになってしまうことが多いので今回は雨除けしておく練習をしてみる。

*太田周氏が自園のヤブツバキ実生から選抜。農水省登録取得種。「参照:日本ツバキ・サザンカ名鑑」


「聚楽金魚」
銘品「聚楽」の葉変わり品で葉芸の固定率は高め。やや蒼味を帯びた赤に見える。暖冬のせいか本来の花期よりも早め?うちの金魚もメスをずっと追いかけている(抱卵はしているが産卵の気配がない…)。金魚ブログのつもりであったのに山草のことばかり書いているが別に金魚を忘れた訳ではないのだ。
こちらも銀葉と相互交配してみた。

「聚楽」は淡桃地に淡い紫紅の覆輪ぼかし、一重平開咲き、筒しべ、大輪、4月。実生品種に「言捨て(ことずて)」があり、そちらは八重で桃色に赤の絞り。「参照:日本ツバキ・サザンカ名鑑」




2015年12月21日月曜日

フイリアマクサシダ?

前回の探索で気になっていたシダがあったのと、沢沿いにタマアジサイなどがないかと思ったので今回は小さな小さな沢筋(あまり水量があるとマジで落ちたりしそうなので)に沿って見てみようと思ったのでありました。
「イノモトソウ」?
シダは本当によく分からない。ちなみにこれは普通に車が行き来する山道の道路脇。
「イシカグマ」?
ぜんぜん分からん。
葉先が斑入りになっている?
枝が枯れかけている訳ではないので、枝変わりのようなものかな?
黄葉になってる部分の胞子だけもらって実生してみよう。
イノモトソウ」?
にしてはヤケにゴワゴワしてるのですが・・・「オオバイノモトソウ」と言うヤツかな?
「胞子ナシ」
暗すぎてちゃんと撮影できない・・
「リョウメンシダ」?と「フイリイノモトソウ」?
さすがに「リョウメンシダ」くらいは知っていたが、実物をちゃんと見たことがかった(たぶん栽培してもいるのに・・・)。なんでこのシダはひっくり返っちゃってるんだろう。吊り下げ式?とかしげしげと見ました。たくさんあった。
「フイリイノモトソウ(ホコシダPteris ensiformis」?
非常にキレイなシダである。園芸品種になると名前が別物に変わってしまうので学名も記す。だいだい「フイリイノモトソウ」で引っかかる画像と同種に見えない。というよりは、ホントにこれでいいのか?頼りにしている「シダの図鑑・著:光田重幸氏」には写真がないのでまったく自信なし。
急斜面で足を滑らせたら無事では済まない場所に加え、薄暗くてブレないように撮影するのに一苦労。探してみると結構ある。
左のは「イワガネゼンマイ」。葉先が鋭いので「イワガネソウ」ではない筈。そちらの方はここでは未確認。と思ったのだがやっぱ自信がない。詳しくは「イワガネゼンマイとイワガネソウの見分け」(参照:日本のシダ植物さん)。全体像は「チチブイワガネ」ってのに一番似ている気がするんですが・・しまった毛の有無は確かめなかった・・・
葉模様は成長するにしたがって地味になるようだ。
こんな水の滴る所にもいる。つまり「日当たりも良くなければ、乾燥してもいない場所」。ホコシダの生育場所とされる環境とは正反対。となると別種なのか?余計分からん。

銀葉は日照の足りない場所で光合成を効率よく行う為と書かれているサイトを見たことがあるので、環境に適応している形態のせいかも。
近くの大きな葉は親だよね・・・模様もあるし。
でも葉型が??「アマクサシダ(Pteris dispar)」っぽいけども。
まだまだいるよ。いろんな柄。
派手柄。個体差が若干ある。
湿った岩の間から出ているものが多い。
親と子?
葉焼けしているような株が多い。こんな暗くても日照が強すぎるのか、病気?
「獅子葉」?
時々書いてるけれど、シダ類は若葉に衝撃を受けると変形しやすいので山採り変わり葉なんてのはあまり当てにならない。栽培してみたら何コレ普通のじゃんなんて事よくある。とは言え気になるので飼ってみたい。
やっぱり暗いよ。実際はこれくらい照度。
でもこうしてみると、この白い模様が暗闇でも非常に目立つことがわかる。
となるとこれには何か意味があるのだろうな。


人工林と自然林の林床での光合成量について興味深い解説をみつけた。
植物Q&A 間伐しない人工針葉樹林と照葉樹林について(参照:日本植物生理学会
水が流れてるし・・・
左上の大きな葉は「フユイチゴ」だと思う。実がなっているものを良くみた。トゲはほとんどないので比較的安全(小さめのがあるにはある)。トゲのあるものはキライだ。ゆるせるのはグフだけだ。
ワサビと同居してるくらい多湿です。
大きめなせいか葉先だけしか模様が残ってない。
成長による模様の変化?
むむむ、これが親?なんか「雪風」みたいでカッコイイが。
どうも「アマクサシダ」みたいだが、雰囲気が異なる気もする。
誰も小苗の葉模様について言及してないのが謎過ぎる・・・・
「イワガネゼンマイ」だと思う。
「リョウメンシダ」
どう見ても裏面にひっくり返ってるだけですよね。
個人的には「サカサシダ」とか「ウラオモテシダ」とかの方がいいんじゃないかと思うのですが。
「リョウメンシダ」
これは非常に姿の良い個体。三葉虫みたい。
連れていきたいくらいだったけれども大き過ぎ。
途中で表裏逆になっちゃったけど意外といいからそのまんまみたいな感じだろうか。
「ヤマアジサイ」?
落ちている花殻を見つけた。ほとんど種が残っていない様子だが拾っておく。額があるのでコアジサイではないし、わずかに残ったボロボロの葉を見るとヤマアジサイっぽい。コガクウツギとかノリウツギとかの可能性もあるのかも知れないのだが、アジサイ類の特徴の違いをまだ把握していないのでなんとも言えない。来年の梅雨時にはちゃんと判別できるようになりたい。
もう一つあった。こっちはもう鞘が開いているのでたぶん空だと思うが一応回収。
側にいた別の株。
たぶんヤマアジサイ。静岡は白花が多いらしい。別の山で見た自生株もやはり白。
「オオバイノモトソウ」?
変わり葉
「獅子芸」とか「羽衣芸」は継続するが、このての不定形な変わり葉は継続した試しがない。
ただし自分で実生したヤツは継続している。遺伝性がある場合もあるみたい。
「イワガネゼンマイ」?
これはどうも2茎に分岐石化している様子であるが、株の一部だけなのでその部分だけ分けていただくことにした。継続しない気がするが経過観察しよう。
「アマクサシダ」?
これだけ乾いた場所にいた。しかし日当たりはあまり良くない。
「何かの種」
引っかかってる。
「キッコウハグマ」あたりかな?
それらしい花を辺りには見かけず。埋めておいたので来年芽が出るといいな。
フユイチゴ
この時期の赤い果実なんて「両」シリーズみたいにおめでたい気がする。


2015年12月6日日曜日

樹木の実生

毎年毎年食べ終えた後の柑橘の種を集めては蒔きまくって10年以上。柑橘の実生はライフワークと言っても過言ではないが、継続は力ナリ。ようやく出したぜ斑入り。

まあ、斑入り自体は柑橘の実生で割とでるので蜜柑好きなヒトには是非試して欲しい。
ただ、真っ白な幽霊になったり、曙斑入り的に緑に戻ったりするのでそれで終了。
掃き込み斑入りが出たことはなかった。

柑橘の斑入りは割とあって、「キンカン」「温州みかん」「レモン」「ゆず」「佛手柑」などの苗は比較的入手容易である。ただいずれも「覆輪」なので安定性はあるが遺伝性はおそらくない。枝変わりとかを選別したものなのかも知れない。

なお、果実を目的に実生するヒトが大半だと思うが、結実までに10年位を要するらしい。うちでも最古のものが1.5mくらいになり、何年も実をつけている購入苗よりも大きくなったが未だに結実せず。何を蒔いたのかすら忘れてしまった次第である。
「チャンドラポメロの斑入り」
今のところおそらくかなりの珍品。まずチャンドラポメロの果実を手に入れないことには話にならんが、最近ではネットでも簡単に買えそうなので、難易度は高くないかも。
まあ、このまま枯らさずに成長させることが出来ればの話。斑入りのみ引っこ抜いて植え替えたら枯らしてしまったことがあったのでしばらくはこのままの予定。
気のせいかも知れないが単独植えよりも成長が良い気がする。

なお、チャンドラポメロが単胚(劣性遺伝)かどうか不明だが、優良品種には多胚品種(優性遺伝)が多く、大半が親のクローンとなるそうである。「参照:かんきつ類のQ&A(品種改良編愛媛県」ぬー「清見」育成に31年もかかった静岡産にも関わらず県外が主産地とは・・・。
がんばろう。

*参照:高品質・単胚性カンキツ品種「清見」の育成 著:吉田俊雄氏 (非常に興味深い。柑橘育種を試みる者は必読!)
「パール柑(「大橘」参照:果物ナビ)の斑入り」
実生4年目くらいかな。もう結構大きめなサイズ。
展開した新葉に斑が確認できる。

白糸の滝の隣にある山野草屋さんから購入した「パール柑」(「水晶柑」とうろ覚えしてたので「水晶文旦」かとも思ったが別種らしい。販売されている苗には「土佐文旦」の別名ともある。どちらにしても鹿児島の文旦の系統ではあるらしい。いつか食べ比べる機会があると良いが・・・)がとても美味かったので迷わず播種。確か巨大なフェイジョアも売っていた気がする。フェイジョアの種はキウィフルーツみたいな小ささだが発芽率は結構良い。実生後の成長も良いので興味があるヒトはお勧め。
ただし、実がなり始めるまでに数十年を要することがあるので覚悟した方がいい。また生り始めて数年の間は実が小さいので可食部がほとんどない。食べたいだけなら素直に苗を購入した方がいいかも。
「パール柑の斑入り」
地味なんだけども、こちらのもう一枚の葉にも出ているので斑入りだと信じたい。

ちょっと不安。
冷静に考えると果物を採るにはいけない遺伝ではあるが。
「トキワガキの斑入り?」
3年目くらいなのだが、一応毎年継続中。しかし曙斑っぽい。
何本か似たようなものが出た。掃き込み斑は出ていないが、メス木として出回っている個体なら持っている。山野草屋さんのリストでは結構高い。結実はまだないし全然大きくならないし、老鴉柿ならたくさんあるのに常磐柿はあんまり人気がないのか品種の入手もままならず残念である。盆栽屋さんにならあるだろうか。
「トキワガキの斑入り?」
上とは別の個体。継続してはいるもののやはり消えかかっている。
なんか逃げてしまいそうな気がする・・・
「聴信寺金魚(椿)」の実生
金魚葉になってないんですけど・・・
梵天とか金魚葉とかの実生遺伝性は低いらしい・・・

ま、実生の大半はこのような失敗作である。失敗って言っても別に花が悪い訳ではないからね。斑入りや変わりものが気持ち悪いと思うヒトもいるだろうし。結局は稀少性の問題なんだろうなぁ。


「聴信寺金魚」
傷んでしまっているが開花中。写真だと普通に見えるけれどもやや黒っぽい色。ユキツバキ系ではない(参照:「雪椿の見分け方」・「太目の細井のきまぐれ日記」さん)。花粉親はどれだったのだろうか。「弁天西王母」は一輪咲いていたが他の椿の開花はもう少し先になりそうだ。

余談だがウィキペディアの椿の項の中文ページを読むと椿の原産地が中国で日本に導入されたとか書いてある(機械翻訳)。

なお「日本産ツバキ属~野生種の類型と品種の見分け方~」(参照:㈱アボック社)によると「ヤブツバキ」は一部韓国南西部に分布、「サザンカ」は日本固有種で、子房に毛があるツバキは国内産になく、「侘助」の野生種が発見されていないことから明時代の中国産の原種と交配された園芸種であろうとのこと。
ただここで気になったのはサザンカの子房にも毛があるのですが、どっちなのでしょうかね・・・。ウチにも斑入りのツバキとして購入した謎の木があるのですが、萼片がやけに毛深くてどうもツバキでなさそうな雰囲気。花が咲いたらアップしよう・・


おまけ
マルバテイショウソウの実生」
購入した九州産の親株が種(綿毛)を飛ばしたようでオナガカンアオイの鉢から勝手に生えてきたもの。自家結実する。テイショウソウは栽培が難しい方だと思われるがこちらは比較的丈夫らしい。ただ親株が小さくなってきている気がするので厭地性があるのかも。
ちなみに乗っている落葉と奥に小さく見える緑の小果はフェイジョアのものである。