2016年9月25日日曜日

復活のシダらしくないシダ類

「(ホソバ)リュウビンタイ 九州産」
冬の終わりの大寒波で葉がすべて枯れこんでしまったものだがようやく復活。まだ生きていた根塊がいたようだ。黄葉のリュウビンタイとのことであったが、どうやらホソバの方らしいとは以前愚痴った。暖冬であれば特に問題なく静岡で越冬できるだが、10月からの2ヶ月で次の寒波に耐えられるくらいの体力をつけられるのか心配。

またこれの葉が多少変形しているが、石化している訳でもない。幼葉の頃はこんな感じ。

何度も何度もしつこいように書くが山採りの変わり葉のシダと言うものはまず継続しないので騙されないように。2年継続したリュウビンタイの変わり葉も株が成長してきたら普通になった。カンアオイなんかもわりと頻繁に葉型や葉質(羅紗に見えたりする)を変えるので、オークションなんかではあまり熱くならない方がいいですよ。

隣の斑入り椿はユキツバキ系の「麗山峰」だった筈。今まで深く区別してこなかったがヤブとユキを混ぜないようにしないといかんなとは思っている。なお斑入り椿は遮光してやった方が調子がいいようだ。

「イワガネソウ 斑入り 九州産」
まず、日照が強いと葉灼けで枯れる。風が強くても乾燥で枯れる。斑入り芽は草体にとっても維持するメリットがない為自死しているんじゃないかと思うくらい虚弱。加えて硬化前のやわらかい葉はナメクジの大好物。

イワガネソウ自体は比較的安価で丈夫なシダだが、このせいで何度も瀕死の状態に。もう今季は斑の入った芽が死んだかと思ったのだが、ようやく復活!奇跡としか思えない。

と思いきや、また葉が硬くなる前にナメクジに食われ始めた(数日前までは無事だった)。経験上こうなるとまた枯れこんでくる可能性が高い・・・・・
それにしてもなんで3週間も4週間も硬化に時間がかかるのか、食ってくれと言わんばかりではないか。山にはナメクジとかシダを好んで食害する虫はおらんのか?訳が分からん。シダのプロの方理由を教えてください。

手持ちの斑入りシダの中では一番の奇品であるが、山野草屋さんとかちゃんと遮光・防風・防虫環境でないと維持困難だと思われる。

「ナガサキシダ (散斑入り) 九州産」
だが斑はない。ぜんぜん出て来ない。普及品であるイワガネソウの散斑と同じようだがもっと地味な斑ものの筈だが、まったくその気配なし。山採りはしょうがないな。

イワガネソウにそっくりな葉型だが、胞子嚢の形は全然違う他人の空似である。また実物を触ると分かるが、葉の硬いイワガネソウよりもさらに厚く皮質であるもののむしろやや柔らかいくらい。

テイショウソウ実生の花蕾


「テイショウソウ実生 直射日光下」
台風来襲時にヨシズを外したのでまた炎天下。
ずっと秋の長雨状態だったが、今週から真夏に戻るらしいが大丈夫だろうか。

「テイショウソウ実生の花蕾」
サイズは小さいが種は出来そうだな。がんばってくれ。
取り蒔きすれば一年で開花まで持っていけると言えることになりそうだ。園芸種化するには都合がいい。

「テイショウソウ実生 遮光下管理」

むむむ。これは完全にダメだね。落葉していてもたぶん根はだいじょうぶだが、花はもう無理だろう。
盛夏の水管理は気をつけないといけないのは分かってるんだが・・・・・

斑入りヒナタイノコヅチ?

「イノコヅチ?」
たぶん何かの鉢から生えてきた雑草。
記憶が曖昧だが、ふつうなら引っこ抜いているがたぶん斑入りだったので地植えしてみたもの。
草体は近辺で見覚えがあるが、花は見た覚えがない(抜くので)。であるのでどこかの山野草屋さんからの迷子かも。

花型からヒユ科かな?くらいに思っていたが、庭の雑草で検索してみてどうやら「イノコヅチ(ヒカゲイノコヅチ)の仲間」(参照:写真植物図鑑さん)らしいと推測。

ヒナタイノコヅチ」の根は、「牛膝」(参照:家庭の中医学)として漢方薬にも使われると書いてある。役に立つんだな。

「イノコヅチ?」
覆輪は実生からしか出ないとする意見をどこかで見たのだが、とすると実生ものでいいんだろうね。
掃き込み斑から芽変わり的に出現すると個人的には解釈していたのだが。まあどちらでもいいや。安定しているから園芸的には貴重だけど、育種的には遺伝しないので花粉親としてしか使えない。

2016年9月11日日曜日

テイショウソウの実生苗 2016年9月

「テイショウソウ実生 静岡市産」
もうどっちが最後まで直射日光下で育てたのか分からなくなった。

「テイショウソウ実生」
ダメージがやや少ないのでこちらの方が早めに遮光した方だと思うが。いずれにせよ盛夏に遮光は必要。

「テイショウソウ実生 準遮光」

いわゆる棚下で午前中までは陽が当たるかもしれない場所に置いていたもの。あきらかに状態が良くない。水の管理が悪かったせいかもしれないので同一管理とは言い切れない。
これから涼しくなって巻き返してくれるといいのだが。

「テイショウソウ実生 遮光
もう完全に大人サイズというか葉も落ちかけてるので今季は終わりなのだろう。花芽も草体にくらべてひょろーんと長い。蕾もふくらみつつあるので採種できそうである。

「テイショウソウ実生 遮光
上手く撮れないのが分かってるのでやる気がなくてこんな写真だが長いのは分かる。だいたいにおいて自然状態のものと同じだろうと思う。一年で親になることが可能なのは判明した。

次は花の写真の予定。それでテイショウソウの栽培の試行錯誤については完了。







庭の斑入り植物の実生

先日NHKで放映されていた「魔法の庭 ダルメイン」は面白かった。目玉は青いケシの地植え。実生を繰り返して馴化させたのだろうか。植える場所は選ぶが基本放置っぽい庭園なので、自分の思うところの庭園管理法に近いのだと思うのだが、本州じゃある程度標高の高い場所にでも引っ越さないと無理っぽい。高山植物は結局全部ダメになったし、前回よりも不出来。我ながらグリーンフィンガーなんてもってないわ。

それはともあれその英国庭園を管理している女主人が「まだらの葉」がお気に入りとか「黄覆輪」のヒレハリソウ(コンフリー)を愛おしんでいたのだが、副音声がなくて元の発言が聞き取れなかった。翻訳者が斑入りと言う用語を知らないかったとも思えないし、庭園を紹介するにあたって専門家の監修がなかったはずもないとか思わないでもないけど発言をあえて忠実に訳されたのであろうとしておこう。でも、まだらはないよな。意味が伝わらないもの。

斑入りや奇品を貴ぶのは日本の伝統園芸の基礎であるが、サボタニやおそらく洋ランの世界でも日本人が独特な感性で外地では病的とされた斑入りを「抜いていた」*金魚用語(?)ような話をどこかで読んだ。

斑入り植物の利点は、花が地味だったり草体そのものが地味だったりするものに敢えて価値を付与することにあると思う。実際カタバミのようにむしろ邪魔な雑草のようなものの斑入りが売られていたりもする。

いっそのこと全部の雑草を斑入りにしたら管理が楽でいいなじゃいかと思わないでもないし、実際にある邪魔でしょうがない山採りの雑草の斑入りから採取した種から斑入り苗が出来つつあり枯らさなければ・・・勝手に生えてくるくせにいざ栽培しようとするとうまく育たなかったりする・・・

「斑入オニタビラコ 富士産の実生」
庭の東側の通路にうじゃうじゃ生えてくる雑草で毎年始末に難儀していたが、山採り苗から採取した種を蒔いたもの。3株ほどに斑が見える。これでも播種後3ヶ月ほどは経っている。本当にただの雑草なのだが、食べられるらしいので飢饉の際には食おう。

「ヤブミョウガ 九州産」
鉢から地下茎が脱走してしまって勝手に生えてくる。芸には差があるのできれいなもの以外は引っこ抜いている。実生も出来るがほぼ斑入りにならなかったりする。が、たぶんこぼれ種から生えてきているのもいる筈。思わぬところから生えてくるし。

これも新芽が食えるらしい。

「ヤブミョウガと普通のヘクソカズラ」
ヘクソカズラにも斑入りがあるらしいのだが、いらない。庭から絶滅させたいが消えない雑草の一つである。

「斑入りのヤマイモ」
斑入り親のむかごから実生したものなので、おそらくクローンの筈だが全部斑入りになる訳ではなく個体差もある。小さいうちはヘクソカズラと迷うが葉型でなんとなく見分けがつく。

「斑入りのヤマイモのむかご」
ちゃんと食えます。若干青っぽいような独特な風味があるので小さいながらも存在感がある。田舎のお料理屋さんとかだと出てくるのかな。

「斑入りミズヒキ」
勝手に生えてきて困るといえば、白花斑入りのミズヒキ。もともと購入したなにかの苗に紛れ込んでいたものであまりにも雑草化してしまって引っこ抜いて回っているがいっこうに減る様子がない。

まるで植えてあるかのようだが、チャンドラポメロだかパール柑だかの鉢に生えてきたもの。きれいな斑入りになってしまったものは残してあるが、どうみても本来の鉢の主の成長の邪魔になっているので後悔している。こいつら種を蒔き散らす上に多年草で球根のような根茎を地下に残すので駆除は困難。

「斑入りアザミの実生?」

札にはシオデって書いてあるが、シオデではなさそう。葉の縁がとげとげしててただの雑草でもなさそうなので記憶をたどると、もてあました斑入りのアザミ(あまりに葉が痛いので近づきたくないのと空いてる鉢がなくて)の種を蒔いたような記憶が・・・ でも斑入りっ気はないね。

2016年9月10日土曜日

斑入り常盤柿の実

「斑入りトキワガキ」
トキワガキの斑入り♀である。詳細は分からないが本斑入り株はこれしか知らない。そもそもトキワガキが人気でない。

トキワガキの実生苗はたくさんあるがまだ花が咲いたことがないので、授粉してないと思われるが実は生った。なんか斑入りっぽい色合である。

「トキワガキ実生の斑入り」

実生苗から出た斑入り。新芽は普通の葉になっている。一応継続中で後冴えの筈。

よくみると「ベニフキメイガ」だろうか。食害痕が残っているなあ。ウチではおそらくほぼすべての植物が食われており、カンアオイやアジサイ類など比較的貴重なやつが餌食にされ枯れたものもある。とにかく食欲旺盛でしかも目立たない色で葉の中に隠れているので気づいたころには終わりってこともよくある。こいつのせいで「イワヒバ」栽培を断念したこともあるので、ナメクジ、ヨトウムシとならぶ三大害虫である。イワヒバはおなじような色で保護色になってしまっていてしかも形態までそっくりなので全然区別がつかないという最悪の組み合わせである。

トキワガキよりも芋虫で盛り上がってしまったが、駆除方法を模索中である。



斑入りハナイカダの実生苗 2016年9月

「ハナイカダの実生苗」
夏中放置していたものから斑入りが継続しているものを残して植え替えた。ずっと木陰にいたせいか、葉灼けはあまりないものの大きくもならない。
斑が消えたものはまとめて親株の根本に植えこんである。戻らなければいずれ引っこ抜くつもりでいる。

「紺散斑」
「羅紗掃込紺散斑」
この羅紗はどうやらウィルス性のような気がする。

「曙白散斑」
おそらくは曙(後暗み)ではないと思うのだが、ウィルス斑ではないし、葉緑素の欠損「アルビノ」というよりは、葉緑素の不足と言った感じで、爬虫類なんかで使われる用語の「リューシスティック」に相当するのではないかな。「黄葉」もこの系統ではないだろうか。

「曙白散斑」
以上、斑の図の名称が正しいのか定かでないのだが、一応区別の為書いてみた。