2015年10月24日土曜日

ずんべらぼんは発酵の素

今年は調子が良かった筈の「細辛」や「テイショウソウ」が全滅したりしてかなり凹んだ。
植え込みから数年経過して、これから株立になってゆくだろうと思っていたにも関わらずこれだ。

どちらも白絹病対策でバリダシンを散布してあったし、その感染を恐れて用土の汚染もないようにしてあったつもりなのだし、病原菌にしても宿主を全滅させるようなことは意味がないと思うのだが、経年劣化などで土壌の性質が悪くなったと考えるしかないのか。

山野草の栽培についての書籍を読んでいると、かならず植え替えについて言及されているのだが、自生地では土壌の更新が起きてるとは到底思えないので、ずっと違和感を感じていた。


真夏は蚊にボコボコにされるし、秋以降はすぐに陽が暮れるのでろくに作業が出来ぬ。春が一番いいのだけれど、庭の水撒きと植物の状態確認だけでもちゃんとやると数時間も経っていてびっくりする。土日はグダグダしていたいしたまには出かけたいし、そもそも水槽の水換えだけで一時間もかかるのに、そのあと大量の鉢の植え替えなんてまったくやる気にならん。


そんな訳で、モノグサが手間暇かけずに出来ないものかと思って「不耕起栽培」や「連作栽培」についての本を何冊か読んでいたのであるが、簡潔に理詰めで書かれていて特に腑に落ちたのがこれ↓

連作のすすめ。著 木嶋利男」

おおまかに解釈したのは3点。

*自然状態では本来適応した植物が生えている。

*栽培当初は生育が良好だが、連作障害が数年後に起きる。

*連作障害を乗り切ると、植物に適応した土壌環境になってゆく。

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山野草栽培における現代の常識である「植え替え」は不要であると言うのが面白い。

春及園の故鈴木吉五郎氏が株分けした際苗を同じ(古い)培養土に戻していたと言う記事を雑誌かどこかで読んだのだが(この方昭和初期からディスカスの飼育までされていたのか・・・すごすぎる)、同じ培養土を使用していると菌層が単純化したり汚染されたりする漠然とした印象を抱くが、そんなことはなく年々複雑になっていくし、微生物によって地下数メートルまで団粒構造にしてくれるのだそうだ。むしろ土壌撹拌によってせっかく形成されかけている安定環境に酸素を供給してしまうことで撹乱してしまったりする(すでに理想的な環境になっている場合。まず土壌改良が必要な場合もある)のだとか。

無論これがそのまま山野草の栽培に応用できるのか分からないのだが、入手したときと同じ状態のまま管理しているカンアオイの方が状態が良いような気がするのが気になるのである。


もっとも栽培管理がいい加減だと言う原因も否定はしないし、高価な山野草の場合では連作障害やらが起きて枯らしたりなどしてはならぬので植え替えによってしのぐのは当然とも言えるのかも知れない。が、そんなにマメに管理できるのであれば、わざわざ大鉢に植え替えたりはしないのだ。


と言うわけで、いろいろと白絹病対策の為、アルカリにpHを傾けたり、大量に薬剤を買い込んだりしたものの結局発病したものだったが、結果が同じなら何もせずに水だけやればいいのかと言う結論に至った。

少なくとも神経質に植え替えの度に、バリダシン剤をかけまくっていたのはまったくやめてしまった・・・・・もっともその効果のおかげで発症しなかった可能性もある。



ちなみに、連作栽培における白絹病対策では、逆にpHを下げて酸性土壌で活性化するバクテリアに病原菌を食わせると言う方法もあるのだと言う。
こうなると、〇〇が健康に良いと言われたらば、すぐまた反例が出たりとか言う状態と全く同じでどっちを信じればいいのか分からなくなる。


まあ、要するに対症療法ではなくて、実生によって環境に適応した種苗を選抜し、病気自体が発生しにくい微生物環境を丸ごと管理する(不耕起≠放置)と言う点で、濾過細菌環境を維持し、なおかつそこに順応した系統を累代維持すると言う魚の飼育は同じ理屈であり育種の基本であると思い至ったのである。


他に合わせて読んでいたのが「農家が教える光合成細菌」。
光合成細菌と言われる嫌気性バクテリアを培養して野菜花卉に与えると成長が極めて良くなるとか家畜の免疫力が高まるとか言うような内容で、金魚伝承のお魚拝見的な文体で書かれている。個人的にはその効果に関して内容ほどの期待はしていないのだが、各育種家(最近は魚と草と同じくらい菌の育種にも興味がある)の培養についての工夫や失敗なんかが面白く、発想源としても地味に役立つ。



光と菌がついていると、観賞魚の餌の定番である「咲ひかり」の「ひかり菌」を真っ先に思い出すのであるが、「光合成細菌」は嫌気性の紅色の細菌類であり、ひかり菌の方はバチルス菌であると言うのでいわゆる枯草菌類だ。


濾過細菌が枯草菌類であることをご存知の方は一度くらいは水槽に納豆を投入した経験がおありだろうが、ウチの場合は落葉を入れていたことがある。効果はよく分からず材質も変わらんだろうと言うことでペーパータオルにしてみたり、そのうち面倒になって窒素還元の炭素源として活性炭で済ませるようになってしまった。何故かと言うと底面濾過の砂利が分解物によって詰まってしまうのである。


余談であるが、濾過細菌を活性化させるための栄養源として糖類を添加するのだけは止めた方が良い。
というか、禁忌だ。何年も前に試しにやった所、たった数時間で水槽を壊滅状態にしてしまったことがある。

未だに何が起こったのか確信はないのだが、どこに隠れていたのかものすごい量の線虫類が舞い上がってきて、魚がパクパクし始めたのを見たときにはひどく焦った。pHの急変かとその時は思ったのだが、たぶん発酵によって酸欠になってしまったのだろう。
ようは狙ったものが殖えるとは限らない。納豆菌の親戚か・・・水が糸引くのかな?ぐらいにのんきに思っていると全然別の何かを喜ばせている可能性もある。たとえばイースト菌とか酵母とか(も)入っていると考えた方が想像し易いかも。その時間(分)単位の爆殖具合がよく分かるだろう。


だいたい落葉を分解する菌が水中でも適応するのか大いに疑問であったので成り行きに任せるよう収斂してゆくのは当然である。おそらく水槽ごとに適応した菌株が生育していて、それが水槽ごとの病気になりがちだったりと言う環境にも影響を与えていると思う。

なお光合成細菌はバチルス菌と共生することで好気性環境でも生存できるらしいので、こりゃ水槽にも応用できそうじゃん。てなことで早速本を参考にいい加減な培養を試みてみた。

*本来は土壌改良用の液肥として使用する前提で書かれて、市販の光合成細菌を素に増殖する方が無難です。

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「用意したもの」
*ペットボトル (満タンの水道水)
*菌(水槽から赤いものをスポイトで取った)
*咲ひかり


数週間たっても餌が溶けただけであまり変化がないので、開封してみました・・・・・・・
すると・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・ものすごい「ウンコ臭」がした。


「大失敗」であった。


-終わり-



・・・・・・にする訳にはいかん。これをこのまま庭に廃棄すると絶対的近所迷惑になるし、そもそも植物にも危機的な悪影響を及ぼす可能性がある。

そこで、嫌気性発酵を止めるために、ブクブクを投入しかつエナジードリンク剤(糖類を供給して酵母の増殖を期待したのと、アルギン酸とかなんか必要そうなものが入っている)を添加してみた。


つづく








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