2015年3月14日土曜日

カンアオイ探索

先日の謎の花のカンアオイが気になってしかたなかったので、また山散策に出かけてきた。
どうも花粉症デビューをしてしまったみたいなので、心配ではあったものの杞憂であった。なお檜と杉の混合林のようであった。

そして、写真にこそ撮れていないが、また山の神に出会ってしまった。鼻炎気味の鼻を鳴らすような警戒音に視線を上げるとこっちを見ていた・・・。カメラに手を伸ばした途端に逃げられてしまったが、大量のフンやおそらく泥浴びしていた痕跡を確認した。なんたる天啓(遭遇率6割)と感じ入ったが、つまり完全に獣道をたどってしまっていたらしいので、殺人マダニに刺されていないか心配である。それに、道路脇に猿も見かけた。食べられそうなものなどないようだったが何かをつまんでいた。

さて、今回林道脇だけでなく多少周辺の森も探してみたのでだが、カンアオイは基本的に日当たりの悪くない尾根沿いなどに生えている傾向があり、あまり暗かったり落葉樹の陰などにはいない。ひょっとすると落葉の下で休眠しているのかも知れないが、常緑であるので光合成が出来た方が良いのであろうと思う。ある程度群生している傾向があり、ある地点から見かけなくなる。

完全な自然林を見ることはもうないであろうので、本来の森の姿は想像しにくいのだが、背の高い植物に囲まれてしまうと生育に支障をきたすカンアオイにとっては人為的な撹乱があっても、種の供給源さえあればむしろ下草や落葉の手入れがされた杉林との境界付近(雑草がなく地表が見えているような所)の方が居心地が良いのではないかと思った。もっとも、完全に杉林が出来上がり、シダ類など一部の植物が専有種となってしまった場合、ほんの数種の植物しか見かけなくなる。

またたまたまそうなのかも知れないのだが、ここに限らず別の山でも、ある山筋にはいるのに、隣の山系にはいないと言うことがある。そして今回うっそうとした暗い急斜面(滑落しそうになった・・・)、ふかふかの分厚い腐葉土の奥深くまで根を伸ばしている個体もあるにはあり、こちらが本来の姿なのかも知れぬ。ただし、日当たりの良い峰で繁殖している個体から落ちてきた実生子株のようではある。

この場合白絹病のような姿の枯草菌類(?)が根本に広がっていたりしたがまったく問題ない様子であった。白絹病や軟腐病のようなものが栽培時には致命的になり、高価な株を枯らしてしまったこともあるので嫌な気分になってしまった。

よくある言い訳としては、自然界では微生物の均衡が取れていて云々なのだが、辺り一面ヒノキの臭いがプンプンするし、掘り返してみれば土中からはカンアオイ特有の消毒薬のような臭い(株が弱ると臭いも消える気が?)が立ち昇る。おそらく、この環境下では選択された一部の菌類しか生息しにくくなるように、植物自体が調整しているように思える。結局のところ自分の性質に適合したところからしか生えないと言うことのような気がする。

道路脇の斜面に生えていたもの。おそらくスズカカンアオイ。
今回別の林道脇に生えていたもの。
うっかりSDカードが壊れてしまい枚数が撮れてないのだが、だいたいこの形の花。
まあスズカであろう。
林道整備の為に削られた道路脇。時々崩れかけている箇所もあり、雨水が流れた後がえぐれていたりする。
法面の補強などないので、いずれ落下すると思う。
今回観察したカンアオイの中では綺麗な葉模様であるが、基本的にはほぼ地味な霰模様、まれに下り藤。
と言った感じである。青軸もなく、素心花もなく、細辛には程遠い。
今にも落っこちそうなのだが、わりとこういう株を見かける。
土中の根の様子。
自然状態のカンアオイの根の張りを見られるのはかなり稀少な例ではなかろうか?
結構長く、本体が土砂に埋もれたせいか、地表付近まで逆さに伸びた根もある。
掘り出そうとしたら隠れていた花を折ってしまった。
遮光状態だったので赤色をしているが、本来の色目ではないと思う。
まあでも綺麗な赤花ではある。
カッターなどなかったので指で割った。
 

謎のカンアオイと同坪の個体。
花がついているものがあまりなく納得できる程確認した訳ではないが、ほとんどスズカかカントウであるような気がする。
スズカであろう。
これも遮光状態であったので色が薄い。

弁先が伸びてくれば、いずれ「ホシザキ」か「オナガ」(参照:野の花賛花)かと言う感じではあるが、
一部の種*では,形態的な類縁性と今回得られた系統樹が一致しなかった.それぞれのクレードは,むしろ地理的なまとまりとよく対応した.一方で,これらの地理的なまとまりは,核リボソームITSによる予備的な解析結果や染色体の核型を用いた類縁性とは対応しなかった.」(参照:日本産カンアオイ節植物の分子系統と送粉様式)*「サカワ~ホシザキ」と「オナガ」の事だと思われる。
調べ方にも依るが形態的進化の割には遺伝的な変化が少ないなどと言うこと(参照:分子系統解析によるカンアオイ属カンアオイ節植物の分類地理学的考察)も書かれている


お ま け 
フユノハナワラビ
胞子葉は終了。
山野草の世界では「斑入り」とか「石化」とかのカンワラビを見かけるが、ウチではほぼ芸が続いたことがない。
個体差とか言うよりも、環境や栽培法に依るものと思われる。
金魚の肉瘤もそうだが、再現性がないものはキライだ。
と思ってはいるが、また石化苗を買ってしまった。芸が継続するものもあるそうだがその確認をしたい。
「ツルリンドウ」(だと思う)
今が萌芽の季節なのかどこでも結構みかけた。
実生したことがあるが、いつのまにやら消えた。斑入り個体も生きているのと消えたのがいる。
同一条件なのに謎である。

クリハランか何か。
タチツボスミレ

0 件のコメント:

コメントを投稿