なんたらショウマと言う名前の山野草がたくさんあって、それぞれ別属の別種であったりするのだが「レンゲショウマ」と「トガクシショウマ」と「キレンゲショウマ」はそれぞれ全然別の一属一種の固有種と言うので気になっていた。中でもキレンゲショウマは学名自体が"Kirengeshouma palmata"と言う如何にも日本特産種であろうと思っていたのだが、実は中国と韓国にもあるらしく韓国には"Kirengeshouma koreana"と言うやや小型の草体と花を持つタイプもあるようだ。
「キレンゲショウマ(ユキノシタ科)の遺伝的多型と遺伝的分化に関する解析」に詳しいが、「ライチョウ」や「フナ」などと同じく氷河期に大陸から渡ってきたものが取り残されたと言うような状況らしい。「氷河期に~」と言うのは、そうではないと言う意見と論証もどこかで読んだのだが、こう言うのはいつかは解明されるかも知れないが分からんものはキリがないので個人的にはどちらでも結構としておく。
基本的には遺伝型が多様である場所が原産地であるらしく、「タマアジサイ」(日本と台湾に特産)などは富士周辺から派生したようだと書かれているサイト(参照:富士山麓の自然さん)もある。南アフリカのユリ科の植物がカンブリア紀の大爆発さながらの多様性を持つようなものか。
「原産地証明」ではないが、日本でいくら金魚の品種改良に努めたところで結局中国のフナなんだよな…と言うコンプレックスがあって、もし国際的に金魚の名前を統一するとなったらやっぱりKingyoにはならんだろうとも思う。もっとも借り物だからと言って漢字を放棄するとかそういう極論をするつもりはないが。
ヨーロッパ人はもともと世界から収集してきた植物やら動物、魚類に至るまで混ぜあわせて育種をする事をしてきていて、おそらくそれは文化的な問題以前にサンプルの充分な個体数が揃わなかった事に起因すると自分では思う。そして一度混ぜてしまったらもう二度と純系になることはない。とは言えそれがまた新種の起源となると言うこともあるのかも知れない。
海外から苦労して取り寄せたレアプランツのコレクションを温室に並べていてそれが開花していたらついつい隣の花と受粉させてみたくなると言うのは分からんでもない。ひょっとすると最初は勝手に起きてしまったのかも知れないし、種や属を分類するための確認あるいは単純に園芸的な野望だったのかも知れないが、一箇所に収集された時点で起きて当然とも言える。
山野草で特に嫌われるのが人工的な育種で、雑種(自然混雑種なら珍品扱いだが…)となるとほとんど価値がない。と言うのは言い過ぎかも知れないが大体その傾向があると思う。金魚の古典品種なんかも系統にうるさかったりするし。例えば宇野系と協会系の良いトコ取りをしようとして交ぜたりしてもダメ。ひょっとすると協会系なら許されるのかも知れないが、宇野系ならたぶん絶対無理だと思う。
本当に原産地に重きをおいて純系を突き詰めるのであれば、近所の山や川へ行って固有種を見つけてひたすら交配や実生を続けると言うような作業が必要になるのでは。その結果が栽培容易な清楚な元山野草なのか、見違えるばかりに美しくなった色彩変異やアルビノ魚なのか、それとも誰も見向きもしない地味だが超レアではある何か(「タンポポ」でそうなりそうな気がする)なのかは分からないが、それが今ほとんど手付かずの自然など残っていないだろう状態で出来るのかと言われると可能性がありそうなのが地域変異の多い「カンアオイ類」と「アジサイ類」と「フナ類」あたりぐらいだろうか。
ところで、おなじく日本特産の「シラネアオイ」を実生して数年経ったのだが、どうも全滅したっぽい。毎年双葉みたいな恐ろしく成長ののろい状態(ジベレリン処理もしたが効果がないようであった)で結局耐え切れなかったようだ。なお、「カシポオキナグサ」の実生も昨夏消えた。彼等のようなやや寒冷地モノにはやはり暑すぎたのだろうか・・・。水をやらなければ乾いてしまうし、水をやれば蒸れてしまう・・・。気候変動のせいかどんどん暑くなるし今年の冬は不気味に暖かい。ホント、どうしていいのか分からなくなる時が時々ある。
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