2012年7月31日火曜日

2012年度 自家産金魚 鋭意交配予定中 その④のその①

「朱文金和唐内型」


この手の雑種金魚の形態を記述する時には、いつも結構悩む。
希望としての品種名と、実際の見た目が違うこともままある。
漫然と交配させていると、「一体何をしたかったの?」と言いたくなるような魚になってしまうこともあるし、逆に思わぬ良魚に見えたりもする。

「朱文金」のような普通体型の魚に長い尾鰭をつけたような品種は欧米では人気があるようで
ヒラヒラした尾や色合いが好まれるようだ。かえって中国金魚は不気味に見えるらしく、あまり評判がよろしくない。

とは言え、今更「朱文金」の改良品種を造るのもどうなの?てな感じで、「ブリストル朱文金」なんかも、どこが良いのか分からなかった。と言うか「蝶尾と掛け合わせておいて、なんで3つ尾にしなかったの?」と言う疑問がぬぐえなかった。


輸入直後はえらく高価だったものの、現在ではそれほどもないようで。まあ、所詮は「朱文金」であるから、すぐに増殖されるだろうことは予期出来たものだが。


そもそも「♡テール」にあまり魅力を感ぜず、「ブリストル」と言えば「ポップグループ」以下「トリッキー」「ポーティスヘッド」ら「トリップホップ」系「ブリストル・サウンド」だったのだが・・・・・・

う~む今聞くと、すごく90~00年代的なデジタルサウンドエフェクト群だなぁ・・・
つーか。最近少しは変わったのだろうか・・



GREENの店長さんが選抜された「寿恵廣錦」の親魚の動画には素直に感心した。
扇状に広がった大きな尾は見ごたえ抜群。
「横見金魚」の最高峰であると思う。


思い返せば、NHKで放映された金魚番組で、ブリストルの現地ブリーダーが「尾が垂れる」などの理由で、老魚を庭の池に放していたのだが、その尾も立派であった。パラダイムシフトと言うべきか、良い鑑賞点の転換を行ったものだと思う。

GREENさんには以前、ザリガニ等も通販されていた頃に、珍しい輸入金魚(最近全く見かけなくなった、青文ライオンヘッド花房付き、燈眼丹頂龍眼、浅葱蝶尾など今考えれば、ちゃんと保存しておけば良かった・・・)でよくお世話になったものだが、今は金魚に専念されているようだ。

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話は戻って、この稚魚だが、「パールスケール」と「朱文金の青系」との交配である。
「青朱文金」
厳密には墨から赤が出てきちゃっているので、この魚のように鱗に墨斑点が乗ったタイプではなくて、
皮膚にメラニンが乗っただけの「天青」タイプの「青朱文」の方が希少性はあるのかも知れないが、
こちらの方が外人受けはいいし、個人的にも美しいと思う。


まったく交配する予定はなかったのだが、どちらかが死んでしまった場合の保険として掛け合わせておいただけ。

ちなみに、「パールスケール」には出目の遺伝子が入っていないことは確認済みなので、この交配魚から出目になる可能性は低い。ただ、元が中国金魚の血が濃厚に入っているので、予期できない部分もある。


対する「朱文金」は、近代日本金魚の最古参であり、これもまた当時交配テクニックを駆使して作出された最新品種であったろう中国産の「三色出目金」に、わざわざ「ヒブナ」等を掛け合わせた、先祖がえり的な後退交配品種である。


だがこの「ヒブナ」と言うのが曲者なのだ。


まず、「フナ尾のワキン」なのか、日本のフナの変種である「ヒブナ」そのものなのか良く分からない。「ヒメダカ」「シロメダカ」は江戸時代にすでに存在したのだが、「ヒブナ」がどうなのかは良く分からない。

そもそも金魚の輸入自体が「大航海時代」まで遡り、明治時代には各地にワキンが放流されている。北海道の有名なヒブナもどうやらその子孫らしい。

そんなこともあってか金魚博士こと松井佳一氏は、「テツギョ」をただの金魚と鮒の雑種とみなしていたようで、「金魚」はともかく「フナ」の事はどこまで真剣に研究されていたのか疑問である。


「日本産フナ類」とその変種である「ヒブナ」と「テツギョ」については、いろいろと調べてみており、面白い情報もあるのだが、いずれまた。


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結論から言うと、この片親である「ヒブナ」は、おそらく「日本のフナ」ではないと思う。

と言うのも、関東で作出された「朱文金」の親となるのなら、「キンブナ」か東北以北の「ヒブナ」であろうけれども、「関東キンブナのヒブナ」と言うのは聞いた事がないし、背鰭の軟条数が大きく異なるので、子孫の容姿にも影響が出ると思われる。

東北以北、特に北海道などの「フナSP(キンブナ不明種)型ヒブナ」は、3倍体以上のクローン系統が多いようであるので、万が一交配に使用出来たとしても、その「ハイブリッド朱文金」自体が新たなクローン系統となってしまう可能性もあるからである。

となると一番入手しやすい「ヒブナ」は、「フナ尾ワキン」であるとみなして良いだろう。

ただ、「金魚」松井佳一著(昭和38年)には、「サンショクデメキン」と、「ヒブナ」と「フナ尾のワキン」との自由交配である。と明記されており、ヒブナの写真もあるのだが、背鰭の軟条数は17本+1であるので、「ギンブナ」あるいは、「金魚との雑種」(関東で生産されている「オナガブナ」も雑種であり、「テツギョ」とは別種)と思われる。



まあ、DNA検査をしてもらわない限りは、唯一の「日本産血統金魚」である可能性はまだある。


ところがね。実際にはもう「純国産金魚」と呼ぶべき魚が存在するんですね。
これもDNA検査してもらってちゃんと確認を取ってもらうのが最良だとは思うんだけどなぁ。

その②へ つづく

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