「朱文金和唐内型」 一ヶ月後
完全水槽の密飼いの割に結構大きくなってきたなあ。「咲ひかり」も効いてるのかな。
ヒレは長いがつまらない。体高があるのはいいのか悪いのか中途半端な気も。
片親が素赤の割には、黒の乗っている個体も少しいるのが面白い。が、おそらくこれ同士で仔引きしても赤系統がうじゃうじゃ分離してくると思う。
この辺が「固定品種」とただの「雑種」との違いなのだが。
そして面白いのが、どうもほとんど「透明鱗」なのである。もちろん「普通鱗」も多少はいたけど、「網透明鱗」には気付かなかった。
あとはきわめて普通。尾にしても、体型にしても、金魚としては凡庸な「和唐内」型。フナ尾だから区別すべきかな。和金はフナ尾も三つ尾も同じ名称になってるけど・・・
朱文金とキャリコ出目金が交配親なのだから、作出過程ではキャリコ和唐内が大量に出た筈なのだが、どうして「ヒレナガフナ」型に固定されたのだろう?
だいぶ前だが、金魚仙人の緑系金魚の初期の黄金・浅葱系統の魚の中で、琉金・土佐金のように体高はあるが短すぎず、頭はあまり尖っていないちょっと「鯛」っぽい個体を見たことがある。ある意味「和唐内」型なのだが、なかなかの良魚だったのを思い出す。
品種としての「和唐内」が確立されたことがあるのか良く分からないが、中途半端でない琉金でもフナでもない形の魚って意外にいないのだろうか?
ところで、「フナ」と「金魚」の違いってなに?と訊かれた場合どう答えればいいのか。
あまり知られていないと思うが、野生のフナの変異体の中には、ヒレ長の「テツギョ」や、朱色、白色、青色(青文)と言った、金魚顔負けの「ヒブナ」もいる。故松井博士には、「金魚との雑種」と一蹴されてしまうかも知れないが、金魚の祖先もフナである以上同じ変異体の出現はあり得る。
「メダカ」では「蚤種型(せびれ欠き)」や「3つ尾」まで出現しているのだから、絶対に出ないと言うことはないだろう。だが、これを「作出」しようとすると話は別だ。おそらくほとんど変異が起こらないと思われる。実際、松井博士もフナの交配実験を行った結果「無理」と判断している。
「青文色」
ワキンで黒系統の色の魚は、コイフナの「ブラック・コメット」しか見たことがない。
青文魚旧型のように、理屈の上では普通体型で青黒い魚がいるのは不自然ではないのだが、固定できないのだろうか。
「東北産ヒブナ」
顎の形状が特徴的でいわゆる「ナガブナ」タイプ。
背鰭の軟条数もほぼ一定しているので、このタイプはひょっとすると「クローン系統」かも知れない。
と思っていたのだが、それを裏付けるような記述を北海道のヒブナの報告書に発見。
この「ナガブナ」型のフナは東北から北海道にかけて存在し「キンブナ」に比べて大型になる。
「オオキンブナ」がこれに相当するフナではないかとも思わないでもないのだが・・・国外からの「移入種」との説もあり・・・
自分での知る限り、「キャリコ」色のフナの変異体は見たことがない。と言うか「網透明鱗」でないフナの透明鱗版「行基ブナ」は少なくとも今のところ存在しないのではないかと思う。
「ヒブナ網透明鱗」
「和錦城」さんの「網目透明鱗ワキン」とウリ二つ。
東北ブリーダー作出の「純国産金魚」と言っても良いだろう。日本金魚界の快挙と言うべきである。
クローン系統でないので♂もおり交配も出来た。が、顔つきが同地域の「フナ」と似ていないのが気になる・・・。
無論、「出目」「水泡」や「花房」「珍珠鱗」などなど、いろいろな特殊な遺伝形質が金魚にはある訳だが、「アルビノ」や「劣性透明鱗」と言った比較的自然界でも散見される変異に比べると、極めて出現頻度が低い。と言うより「見たことない」。
同じ方向に改良を進めるとなると、日本のフナが中国金魚に追いつくのに何百世代かかるのやら・・・。
今自分のやっている交配も、中国のブリーダー達が積み上げた変異の賜物だものなあ。
でもまあ「朱文金」系統の品種が、先祖がえり的な原点見直しによって人気を得ていることからも、宇野氏が言ったように、素人にも好まれるような魚にするのが一番なのかも。
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