「アシタカカンアオイ?」 前回の探索ではカンアオイがほとんどいない状態であった。若干まとまった株を見つけたが、いかんせん少なすぎて参考にもならないので、場所を変えて探してみた。今度は愛鷹山の南西側、同じアシタカでも足高周辺を目標としてみる。カンアオイの命名は地名によるものが多いので。 探索開始まもなくあっさりと発見。枯れた沢伝いに点々と生えている。やや大きめな株も見かける。おそらく大雨の度に種などが下流に流されていくこともあるのではないかと推測できるし、歩き易いので動物も通るのではないか。どうも獣道沿いにカンアオイが分布している気がするのだが、気のせい?いずれにせよ他の植物が生い茂るような場所では生きて行けない背の低い草である。多少なりとも開けた空間を好むようだ。 割と下り藤っぽい柄が多く綺麗な葉模様である。 銀葉系に緑の谷 「細辛」や「選抜種」なんかとは比べ物にならないが、自然界(人工樹林ではあるものの)でこう言う綺麗な模様を見ると感動する。ウチではナメクジやイモムシの類に囓られたりしているのを見たことがあるが、比較的食害されている葉が少ない。虫や動物が少ないのだろうか? かんきつ ナメクジ類(参照:こうち農業ネット) シカの摂食圧下での樹形・草姿(参照:福原達人氏) 花付きだ。 花弁(萼片)が中途半端な開きをしているので「ズソウ」かな?と思った。 「ズソウカンアオイ」も愛鷹山周辺に分布するそうなのだが、花期が10月~11月。対して「アシタカカンアオイ」は5月~7月。そして今は2月初頭である。 どっちだよ。 一般的に暖冬では開花が早まるとは言われるが… なお、基本種である「オトメアオイ」の花期は6月~8月。一番近いのは天城山系で見たオトメ系の4月。なお「アマギカンアオイ」は4~5月なのでこれは符合する。 またウチでは宮崎特産の「オナガカンアオイ」4~5月や、奄美諸島の「フジノカンアオイ」12~4月(たぶん自生地である奄美の南国特有の気候や遺伝的に多様であるせい?そう考えるとあちらも変種に細分類した方がいいのでは?あるいはこちらにその意味がないのか?)が咲き始めている。 花期で分類できるとするなら該当種ナシ。 そもそもカンアオイの自生地は一般的に山林の薄暗い地表近く。落葉に半ば埋もれていることもある。空を覆う木々のせいで雨も被らない。湿度はあっても湿潤ではない。夏でも比較的涼しく温度変化も人間が体感している平地のそれとはまったく違うと思う。杉林内は(さすがに真夏は暑いが)初夏ぐらいまでかなり涼しい。天城山系では低山域に富士山5合目付近のような地衣類が繁茂しているくらいだ。むしろ株の充実具合の方が重要ではないのか。 別の花。 全体的にぷっくりと丸く短い。「アシタカ」ではないかと思う。 「ズソウ」(参照:「細辛・寒葵」著:岸勝美・入澤清治氏)の参考写真の花と比べると口膜がなく、口が開いているので内部が丸見え。全体的に「ズソウ」の傾向とは異なる感じがする。 やはり「アシタカ」であっているように思う。 間違いなく開口部が広い。こちらは柱頭が5本に見える。畸形なのかそういう変種なのか。とか悩み始めるとキリがない。 たとえばある不明のカンアオイ(南洋産と思われるが詳細不明。オオフジノと同時に入手した為フジノ系かセンカク系の交雑種かと思っていた)を同定してやろうと思って分解したが結局分からなかったことがある。該当種がないのではなくて、目星をつけた数種の図解を並べていざ実物と見比べると区別が付かないのである。こっちにも見えるしそっちにも見えると言う。標準の個体を写実しただけなのだろうが、本物をいくつか所持しない限り想像力で補完する才能でもないとどうにも決断できそうにない。これだけで分かると言うなら石器片だけで地層年代を当てられるんじゃないかと思う。そこが専門家とシロウトの違いかもしれないけれども。脊髄の一部の化石だけで恐竜の種類が分かると言う人は確かにすごいが、学問の領域が違いなのか。 ま、よっぽど特徴的な差異でもない限り、変種程度の差では個体差の部分で曖昧になってしまうのではなかろうかと思う。 撮影した時には結構綺麗な模様だと思っていたが、そうでもないか・・・栽培種と比べてしまうと。いかん心が濁って来ているかも。 あといつも苦労するんですが、ピントが狙い通りに合わないんですよね。中央重点にしているのに奥の葉に焦点があってる・・・カメラのディスプレイだと現像する(PCに取り込む)まで分からんので困ってしまう。マニュアルでやると露出が合わなかったり色目が変わったりするので、結局オート。カメラの上手い人に教えて欲しい。 「木の虚の中にいた花」 こうしてみるとここの寒葵たちにとっては今が開花シーズンのようである。花粉も確認できたので、せいぜい1~3月の間くらいではなかろうか。往々にして自分に都合良く判断してしまいそうになるが、 「不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」 |
2016年2月14日日曜日
愛鷹山の帰還
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