2017年5月3日水曜日

甘い菌の培養と発酵肥料の失敗と稚魚飼育の省力化の件

「金山寺風 甘い菌」
糖化に適した菌株かどうか確認しようと分離培養した親株の方。見事にコンタミしてしまったようで、この通りピンク色。しかしかろうじて黄色とウグイス色が一部せめぎ合い生き残っている部分もある。臭いも麹っぽい香りと金山寺味噌風の香りが混じった感じ。おそらく表面に「紅麹」が乗っている状態なのだと思う。どこで入ったのか分からないがずっと培養を繰り返しているうちに、家や庭やそこらへんにあまねく胞子が漂っている状態になっているのではないかと思っている。

この紅麹も冬の間は増殖する気配を見せなかったのだが、今頃になってブクブクし始めてややアルコール香のある容器もあるので、おそらく春ごろの気温になると活性があがる菌なのだと思う。またもし酒麹(米麹)と同種であるのであれば交雑することもあるのかも知れない。あるいは、共生菌として取り込まれてしまったのか。というのも発酵しなかったため失敗したと思って甘酒麹を混ぜたものもあるのだ。

「分離の子」
金山寺味噌風のものを分離培養したもの。わずか一週間でこの状態。増殖が異様に速い。ドラフトもなく適当にやった割にはそこそこできておる。黄色の増殖は控えめ(負けている感じ→胞子の色?)。また白い菌も見え、こちらはウグイス色と同じではないかと思う。臭いは金山寺味噌風でなく、ひょっとするとこちらの分離したつもりのものは醤油麹かも知れない可能性があるが、そちらとも違う香り。ややマロン臭っぽいのでまた別の菌かも。


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さて、ここからが本題である。
魚にしても草にしても、できるだけ早く大きくしたいと言う欲が出てくる。そしていじくりまわして結局ダメにしてしまうというのは毎年のようにやっているが、今年もやっちまった。ただ、今までとは違うパターンである。

ちゃんと勉強しなければならないのだが適当な参考書がまだ見つからないので、とりあえずWikipediaの麹の頁を参照すると、麹はアスペルギルスを主体に他の菌との混合であるようなので上手く他種との共存共栄関係を形成してくれたのかも知れない。←あくまで勝手な妄想。

発酵肥料の場合、完全に菌相が遷移して枯草菌類が爆殖優占になった状態で猛烈にアンモニアを醸し出し、発酵熱が低くなり・・・で止まっている。完熟させて菌が死んでしまうと無機化してせっかくの菌活効果がなくなるとか、硫安があるので肥料効果もあるかと思ってみたら、大間違い。ここで使い始められる(鉢植え上で残りの酸化発酵が進む)と思い込んでしまったのが間違いであった。そんなに慌てずとも、たとえ菌相の変遷があっても、特定の菌が絶滅することはないのではないかと思っていた直観を信じれば良かった。

「アンモニア障害?」
発酵肥料を与えてから一晩で茶褐色に変色してしまった。
蒲公英や田平子の場合は触れた部分が茶褐色に変色していたが、それ以外は大丈夫そうだった。ヤマアジサイとヤマボウシはすべて枯れた。大島桜とツバキの場合は柔らかい新芽部分が集中的に黒茶変色し枯れ込んだ。

発芽したばかりの双葉や新芽は特に活性度が高く旺盛に呼吸し、気孔からアンモニアガスを吸い込んでしまったのだと推測している。爆殖中の納豆菌もまったく影響を与えなかったとも思えないが早すぎる。草体のサイズによって全身にアンモニアが回ってしまった場合、葉だけでは済まずに枯死(除草剤に応用できそうだが・・・)と言う作用機序でなかろうか。

施肥は栽培の基礎だと思うが、愚かにもまったく理解していなかった。草体には無害な菌による生物防御を狙ったつもりでいたが、それ以前に化学的障害をまったく考慮していなかった。以前は適当に油粕を無発酵のままやっており、カンアオイの特にタイリンなどはわりとへっちゃらだったりすることもあったが、達人にオナガには厳禁だと教えていただいた理由がここにきて理解できた。この大失敗(被害額は結構なものになりそう・・・)で、なにがどう悪かったのか、ようやく身に染みて分かった。

「カンアオイspの実生 施肥済」

発酵の度合いが違ったせいか、あるいはアンモニアガスに対する感受性が低いのか、こちらは特に変化が見られない。テンナンショウ類も鈍い傾向にあるようである。もしかするとハエなどを利用する植物の場合こういったガスが発生しうる腐生環境にも適応しているとか、栄養の流れが緩慢である(両者とも開花日数が長め)とかあるのかも知れない。

ゆえに一概にすべてがダメと言いきれる訳でもない。もう一つの懸念が菌自体の持つ寄生性で一定以上の高濃度で感染してしまう可能性である。こういうのはちゃんと分かった上でやれるのが一番だがその知識を仕入れてきてもここで再現性が期待できるか、ちゃんと理解できるかもちょっとあやしい。

「稚魚水槽」
また麹は藻類とも共生できるようである。すごく変なことを言っているかも知れないけれどもそのように見える。スターリングの短編「巣」みたいなイメージ。過去何年も肥育してきて、濾過細菌ならアンモニア臭のするドロドロの汚水になっているような状態でも、もやもやした灰白色のコロニーを形成しかつ藻類の発生と対立しない。どういう回路で尿素等を何に変換しているのだろう。

これを応用すると、粉末餌のみでも歩留まりも良い。ちょうど一ヶ月経ったが、(体感で)ブラインシュリンプでも実は極端にサイズが変わらなかった(1~2週間でやめるつもりがずっと沸かし続ける羽目になったので記憶違いでないと思う)。さすがにまだ粒エサに切り替えるには早いので、時間は多少かかるし生育も少しバラつくがそこそこはやく成長させられる。孵化した時に腐乱した未熟卵の水を捨ててから以降換水しなくも朝夕2回の給餌でこの透明度。親魚と同じケアをすればいいので大量の水槽管理も楽ちんである。

しかし、エサの加減を誤りダブルチェックの水質の確認を怠って制御不能に陥れば酸欠とアンモニア(濾過細菌が優勢になる模様。エアレーションしていても発生するので極端な酸欠と言うよりはPHの急変に耐えられないらしい金魚の突然死が始まる。増殖した菌がエラを塞いでしまうような物理的ダメージの可能性もあるがよく分からない。エラは白濁でなく暗褐色になる傾向)障害が発生する。逆に言えば、常に80%ぐらいの加減で運用していけば余裕だろう。どうせギリギリを攻めちゃって慌てふためくのだから。

以上、全然違うことをやっているようでいて発酵腐敗という部分で密接に関わっていると推測できる事例でありました。

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