2018年4月30日月曜日

斑入りの創造

「マルバテイショウソウ(Ainaliaea fragrana var. ihtegrifolia)の実生」

マルバテイショウソウの子の子である。すでに親の面影があるのでテイショウソウよりは安心できる。
思っていたよりはけっこうたくさん発芽したがとくに変わり物はない。

最近気になっているのは異種交配などの場合に変わり物が出てくる可能性が高くなるが、通常はかなり低い確率なのではないのかという事である。蒲公英なんてここ何年もずっと大量実生し続けているがまったく変わり物がでない。むしろ結実率が下がってきていてこの作業自体をいつまで続けられるか分からない。

という訳でとにかく可及的速やかに大量に実生して発生率をあげるしか解決策がない。

フキ(Petasites japonicus)実生」

ウチの庭には2種の斑入り株(と枯れてしまったが羅紗葉もあった。今考えてみると倍数体だったのかも)を含め雌株だけなのか結実しているのを見たことがなく、長年雌雄両株を植えておきたいとは思っていたのだが、今年たまたま山沿いの沢で二株綿毛を付けている株を見つけたので種を分けてもらってきた。

かなり細かい種なので結構な量があるとは思っていたのだが発芽率が分からず芽が出てきたらこのありさま。数百粒あるいは千粒近くはあるのかと思う。

さすがにこれだけ播種すれば変わり物も出るだろうと思い、じっくりと観察していて一本の斑入りらしき株を発見。その他双葉に変形のあるもの(野菜の場合では外される異常個体だが、こちらは積極的に採用)を選別することになる。

「フキ実生 変わり物選抜」
数年前にはタンポポでこういうことを一生懸命やっていたのだが、トウカイタンポポからしか採種していないのでシイナ率も高く効率が良くない。さらに発芽がまちまちで時期によってはすぐに出て来ないことも多いのでめんどくさくなってしまってやめてしまった。播種自体はしてあるけど基本的には放置。

ちなみにこのフキの斑入りはおそらく曙斑か打ち込み斑で最近高価で取引されるくっきりとした本斑タイプでなく、昔ながらの斑入り型だと思うのでレア度は低いが、それでも自家産となると愛着がわく。

究めて小さいので強引に植え替えてみたが枯れないか心配である。分かりづらいが中心に植えこんである。


2018年4月28日土曜日

黄葉?

「不明カンアオイの実生」
出遅れて展開してきた新葉にちょっと黄色っぽいのがいる。
いわゆる「玉斑」というやつなのか「黄金葉」系なのか現状では不明である。

正直あまり期待はしていない。

萌黄色のカンアオイを高額にて手に入れたことがあるが、素敵な色合いだったのは最初だけであとは普通になってしまってとてもガッカリしたことがある。

何回か痛い目にあって「山採りの斑入りのカンアオイは危ない」と学習した。自分の場合飾っておくのでなくてあくまで交配の素材としていつか使用するつもりであるので固定率の低いやつは困るのである。一応理屈としては斑入り芽のある場所まで何回も切り戻せば良い筈なのだが、成長の緩慢なカンアオイでそれをやってしまうと維持するだけで一生を終えてしまいそうである。

てなわけでちゃんと継続を確認したものを入手されたし。



2018年4月27日金曜日

4月末の椿

「赤金魚葉ツバキ」
「梵天葉」の方ではないと思う。ちょっと黒みを帯びた紅で未だかつて見たことがない(ちゃんと咲かせていない)花形のような気がするが、肥後椿系のようなのでサザンカかなんかの血が入っている古典品種なのかも。綺麗な花が撮れなかったのだが、斑入りの金魚葉と言われる弁天椿系のものもやはりこんな花芯をしていた。

「赤金魚葉ツバキ」
ぺったんこでサザンカっぽい気がする。こういうのから実生すると毛が生えたヤツが出てくるのかも知れない(昨年実生したものにあって驚いたのだが枯れてしまった)ので気をつけないと。

とは言え、出自の知れた純粋のヤブツバキはなかなかないし、現状では錦葉(斑入り葉)の玉之浦系統の花しか作れそうにない。

なおウチの椿の中では今年最後の花だと思う。

…と思っていたら「散斑ヤブツバキ」と言う札の個体にも花がついていてそれも八重であった。


それと順調に生育していた弁天玉之浦が突如枯れこんだ。接木と挿木で生き残りを図ってみている。先年もいきなり葉が萎れて灼けてきたと思ったら枯れてしまった。そのときは肥料の副作用かとも思ってたが病気なのかなんなのか。一応ベンレートを使ってみたがダメになることを覚悟している。




2018年4月26日木曜日

イナヒロハテンナンショウ

「イナヒロハテンナンショウ」
増殖は容易だと聞くが販売されているのをほとんど見かけない。
一体どこで流通してるのか謎である。

昨年と花の大きさがあまり変わってない気がするので作が上がってるのか不明だが、とりあえず枯れてなくてよかった。


ところで愛鷹山の周辺を軽く散策してきたら道端にスルガ天南星がたくさん咲いていた。マムシグサかなにかの球根を使った酒をどこかで見たことがあるがこれだけあるならできるかも知れないとちょっと思った。草丈は数十センチのものから1mはありそうな大型のものまであったが、花のサイズは大差なかった。

写真はない。

「天南星酒」のソースを見つけられなかったが、ウラシマソウを染色に使っている方がいた。「ウラシマソウ・静かな毒草の枯茶色」(参考:つるの織部屋さん)面白いなあ。こういう発想は好きだ。駿河天南星で染色したらどんな色になるのだろうと夢想する。おそらく同じような色だろうけど。

さらにすごいのを見つけた。「マムシグサとその仲間は救荒植物の皮を被った破壊神だった」(参考:ざざむしさん)こりゃやばいね。自分も時々人体実験するがこんな勇気はまったくないわ。とは言え🐡の卵巣を発酵させて解毒する珍味が佐渡にあるのでまだ他の方法はあるかも知れない。少なくとも蒸留させちゃえば問題ない。




Arisaema inaense

ヤマアジサイの実生の斑入り

「ヤマアジサイの実生 斑入り」
覆輪になるかと期待しているもの。

実生しても遺伝しない(と言われてるが発現条件が違うのかしている植物もある気がするが間違ってると困るので具体例は敢えてあげない)ので覆輪の植物は積極的に入手しないようにしているが、これだけ似たような斑入り個体が増えてくるとヤマアジサイとしては稀少な覆輪個体も持っておきたくなる。

が、覆輪のヤマアジサイは虚弱な個体ばかり(*二種しか知らない。かなり高価な上に両方とも🌱出し中に枯らした…)で苦手意識がある。


「ヤマアジサイの実生 斑入り」
ウチではお馴染みになりつつある黄色の刷毛込み柄。

元気そうだがまだ予断を許さない状態であるので鉢上げとかはしないが、こういうのばかりを増やしてもしょうがない気もし始めた。

「覆輪」は斑入り個体からの芽変わりや実生時に発生するものだと解釈しているが、ウチではそういうことがまだ起きたことがないのであくまで伝聞状態。

「(仮)土佐の暁錦?」
「銀糊中斑」???
 む~。札を間違えてなければ「土佐の暁」の筈なのだが…

斑の進化が起きているのであれば歓喜すべき状態なのだろうが、よく分からなくなってしまった。




Hydrangea serrata

2018年4月7日土曜日

モノドラカンアオイたち

「モノドラカンアオイ」
やはりカンアオイの葉模様の中では最高の種であると思う。
昔の自分のように海外の観葉植物に現を抜かす者にはこういう純国産種もあることを知らしめたい。西表島産だけど野晒で越冬するし。

2~3株入ってるが銘品の「美写門」ではない。と思う。というかどれがどれだか良く分かんなくなってしまった。札は入れてあるのでなんとなくは分かるが枯れたのもある。


「モノドラカンアオイ」
「緑雲」だったっけ・・・右側の個体が「美写門」であると思うが果たして・・
奥に細辛の葵錦が一枚写っている。昨年は作落ち。充分回復していない気がする。


「モノドラカンアオイ」
たぶん上のヤツが「白美天」だと思うが、作落ちしちゃっていてよく分からなくなった。


「モノドラカンアオイ」





Asarum monodoriflorum

テイショウソウ実生

「テイショウソウ実生」
一番最初の実生したキッコウハグマかもと思ってたもの。全体的に緑。最初の年は過保護に育てたが昨年はずっと同じ環境。


「テイショウソウ実生」
閉鎖花か受粉できたのか定かでないが二代目。☝の個体の子供ではない。まとめ植えするよりもこうやって一本ずつ育てた方が育ちは良いみたいだ。

同じ環境で育ててもこれくらいの個体差は普通に出てくることが分かる。墨みたいな部分はカンアオイで裏紅とか言われるような状態で裏側からみるとカラス葉になっている。モノドラカンアオイの美しさの一因でもあるので裏紅個体をうまく選抜してやると模様がくっきりしたものに磨き上げることが出来るかも。

Ainsliaea cordifolia

コアジサイの実生苗

「コアジサイの実生」
数年前に採種してプランターに蒔いておいたものの生き残り。今年は開花しそうである。

斑入りとか変わり物が出ることはなかったが花の多いものから種を採った(ある意味当然であるが)成果が出ているのかも。家の東側に置いてある以外特別なことはしていない。

蒔いた種の数にくらべればごくごくわずかな生き残り苗ではあるので、強健な個体揃いなのだろう。とは言え、タマアジサイとかヤマアジサイに比べて虚弱であるとかそういう感覚はない。

余談だが、よその地域からやって来たカンアオイは作落ちしたり枯れたりと栽培に難儀することがあるが、当地産のカンアオイはよく茂り、勝手に実生苗も育つ。オナガやタイリンはたまに実生苗が出来ているのを見かけるがなかなか本葉が大きくなるところまでは耐えられないので何か不具合が生じる段階があるのだろう。

またうちの庭で自然に世代交代をはじめたマルバテイショウソウも今年はいたる所で小苗を見かけ雑草化しそうなほど。元の個体は1体だけであるのですべて自家受粉の子供たちか閉鎖花のクローンかなのだが、やはり環境に適応するというのはこういうことなのだろうと思う次第である。





Hydrangea hirta

ヤマアジサイの斑入り葉たち

「土佐の暁錦(仮)」
実はこれ、昨年切り捨てた方の枝を挿し木しておいたもの。こっちの方がちゃんと斑入りになってるじゃあないですか。肝心の錦化しつつあった本体は元に戻っちゃった(主幹が折れたのが原因で脇芽が残ったせいか)ので札を差し替える羽目となった。


「西国錦」

「白鷺」

「金玲」
安価な普及種であるが芸はしっかりしている。


「紀州産 山採り」
全体的に小葉である。


「釜無山」

「細雪」

「(仮)九重山」
九州産無銘として入手したが「九重山」だと思う。


「高研錦」
小苗過ぎて本芸ではないと思うが、芽変わり品の場合などでは斑入り葉が出て来ない場合もあるのでマシかと。


「阿波錦」


「いの錦」
なんとなく毛深く大柄でエゾっぽい雰囲気がある気がする。


「銀糊中斑」
芸が甘い葉が混じるようになった。不安定なのかも。


「七変化錦」
「藍姫錦」と同じなのかそうでないのか。黄掃込斑の場合どれもこれも似たような感じになるようでなかなか見分けがつかない。


「七段花錦1」
と札を入れてあるが違う可能性あり。


「七段花錦2」
と札を入れてあるがこちらも違う可能性あり。




Hydrangea serrata

ヤマアジサイの黄葉たち

「黄金駿河の変わり」
緑がよく出るようになった枝もある。これがいいならこれを残す剪定する必要があるかも。


「黄金駿河の変わり (元)矢筈型葉」
周辺にわずかな掃き込みの緑が稀につく。葉先がほんのり変形しているような気がするものもあるが、最初の年の枝変わりとは似ても似つかぬ先祖返り。



「土佐茜」
これも結構緑が出てくる枝が出てくるようになった。


「雨山黄金」
基本的に黄金葉のみである。





自家産交配種カンアオイの開花

「葵錦xオナガカンアオイ (?)」
開花した。ホシザキっぽい花形である。

「細辛の葵錦xオナガカンアオイ (?)」
葉は厚めでやや凸凹している。素心ではないが葉の軸は青い。亀甲模様もない。

とりあえずこのオナガの普通種を集めて植えこんであるポットからは出さないとならない。


ふと思い出したんだが、細辛は細辛でもアマギの素心花の方(緑仙?)だったかも知れぬ。


2018年4月2日月曜日

カンアオイSPの実生 2018春

「カンアオイSPの実生」
「カギガタカンアオイ」か「カントウカンアオイ」の実生。
本葉が出てきたらば、照葉と艶消し葉が混ざっている。同じ親だったと思うのだけど違ったのだろうか。

すごく適当な判断なのだが、「カントウ」がツヤ消し、「カギガタ」がツヤ有りだという気がしていた。

おそらくカンアオイにとって照り葉であるのかそうでないのかは最重要課題ではないのだろが、例えば「オトメ」はみんな艶消し、「ランヨウ」はみんな照り葉、「アマギ」はみんな青軸厚葉という場合もあるので、どうしても感覚的に葉質の差異で分類したくなってしまう。

正直、これだけ地域限定的な固有種の多いカンアオイで、広範囲に分布するとされる「カントウ」や海峡をまたぐ「タイリン」が本当に同じ種であるのか疑念を抱かずにはいられない。

それはともかく、ヒナカンアオイの実生苗たちはいつの間にか枯れてしまっていた。原因はよく分からない。この不明カンアオイの子供たちはたぶん大丈夫だと思うが、自然実生の双葉は確認するもののなかなか本葉まで確認できないオナガカンアオイもあるので、なにか成長過程で生き残れない理由があるのだろう。

こうやってちゃんと出来ている場合もあるので必ずしもすべて己の責任に帰すとは言えないと言いたい。管理が悪いだけじゃないんだよ。たぶん。

「不明カンアオイ」
記憶が曖昧で親が不明なのだが、細辛の葵錦とオナガの人工交配種だと思われる自作のカンアオイ。青軸で葉質が革っぽい所に細辛の雰囲気があるし、蕾の形が「マエダカンアオイ」っぽくて怪しい。たぶんむしろ「イワキリカンアオイ」に近いのだろうが実物の蕾を見てないのでなんとも言えない。

処分してしまうのも可哀想だし、「(フクオカ)タイリン」や「フジノ」なら開花中なので、巨大花を目指して突き進むのか。それとも面倒になってやめちゃうのか。気分と状況次第。