2012年9月21日金曜日

「朱砂」か「もみじ」か「網透明鱗」のあれこれ

「網透明鱗」は普通鱗同様「褪色」現象が起こる事で「透明鱗」と区別できる。

できるのだが、色変わりも終わってしまっている魚が網であるかそうでないかは、分かるの?

って訊きたいくらい自分でも良く分からん。


正直、眠い感じのボケた色の透明鱗が「網透明鱗=劣性透明鱗」と解釈していたのだが、ほんとかよ。自信がない。

国産「もみじらんちゅう」
と言うことで金魚屋さんから購入したのだが、オリジナルの「もみじ」じゃないな。
色合いがもっと赤いし、体型ももっと長手だったと思う。肉瘤もこんなに出てなかった。
流通上仕方ないのだろうけど、違う系統を同じ名前で販売して欲しくないなあ・・・


と言うのも、ウチの「琉金型パール」みたいに、馬蹄型に鱗の縁だけグアニンの乗っているパールが「網透明鱗パール鱗」だと思ってたんだが、この前に行った某ホームセンターで同じタイプのピンポン2尾も発見したんだよなあ。どうも系統が違う気がするんだが・・・。他の金魚屋で見かけたことがないんだよなあ。思えば親魚をそこから購入してたんで系統が同じなんだろうな。


「金魚」(著)松井佳一に掲載されている古いタイプの「珍珠鱗」写真の鱗がまさにそれ。数匹映っているが、どれも自分の思っていた所の「網透明パール鱗」っぽく見える。典型的な「ピンポンパールスケール」の石灰分が白く見えるだけの透明鱗と違って何故「真珠鱗」と呼ばれたのかがよく分かる。

だが同時にパールの乗りが見えにくいと言う問題もあり、初期選別に苦労する気がする。肉瘤と同じく、晩成型の形質と言えるかも知れない。


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ところで、「科学と趣味から見た金魚の研究」(著)松井佳一には、陳楨氏(1928)の「例外的透明鱗」なる劣性透明鱗についての記述がある。おそらく、網透明鱗だと思われるが不明とのこと。

褪色する劣性透明鱗網透明鱗」であり、他の遺伝形質の存在を否定されている訳ではないので、透明鱗の形質にも何種類かある可能性もある。


松井氏は「網透明鱗」を昭和2年にワキンの交配から発見したそうで、

明白な褪色現象をして、体色も真紅色なものがある、又透明の様子が恰も金砂子を置いたように光って美しい、又褪色前の色も普通鱗のものとは異なっている。この変種にはまだ各稱がないので「朱砂(しゅしゃ)と命名して、わきんでは「朱砂和金」とする」

としている。

「朱砂緋鮒」と言うべきか。
松井氏の「朱砂和金」とほぼ同一形態だと思われる。


「黒出目水泡花房」子に混じって泳いでいる「ヒブナ網透明鱗」子(上動画魚の子供。全滅した)
「褪色前」の典型的な「網透明鱗色」。

*褪色現象は「母親遺伝」の傾向があるそうである。



パール鱗」なのは確かだし、交配結果から「劣性遺伝」でもあると思うのだが、
これは「網透明鱗」でいいのか?


「丹頂」とか純白系の魚でも、背鰭周辺の鱗が透けている魚がいて気になっていたのだが、単純に反射の問題で見えてないのか、それとも透明鱗なのか、鱗がないのかよく分からん。


皮膚最深部の銀色がなく、完全に透けているのが「透明鱗」ってのは合ってると思うのだが、そうでないのも結構いる。

「琥珀」と言われる透けたフナ色のものは視覚的に分かりやすい「網透明鱗」だし、フナの透明鱗も大体コレだと思うのだが。

ちなみに松井氏の言う兵庫県の「焼鮒」「行基鮒」、滋賀県の「かったい鮒」以外にも全国50数か所から採取したサンプル内の魚たちにも透明鱗性のフナが含まれたと言う。



キャリコの「完全透明鱗」と「モザイク鱗」については、その多少に差があり判別しにくい場合があると松井氏も書いておられるので、外見から区別しにくい。理論的には検定交配で判断は出来なくもないが、金魚の遺伝では「突然変異」とその逆の先祖返りというか「突然修正」も起きている模様で、実験結果に例外も出てきてしまうようである。

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